テレビ・音楽・映画 2013年エンタ業界総まとめ日経エンタテインメント!

2013年もエンターテインメント(エンタ)業界では驚くような出来事が盛りだくさん。例年以上に話題豊富な1年だった。日経エンタテインメント!が各種データを基に、人々の関心が高い「テレビ」「音楽」「映画」について、この1年の業界動向をまとめた。

【テレビ編】視聴率3冠王はテレ朝と日テレの争い、フジは苦戦続く

テレビ放送開始60周年を迎えた2013年は何かと話題が多かった。ドラマでは、かつて「ドラマのTBS」と呼ばれたTBSが底力を発揮。「半沢直樹」が最終回視聴率で42.2%を取り、平成の民放連続ドラマNo.1視聴率を記録した。

一方、バラエティーや情報番組では多くの事件が発生。フジテレビ(フジ)の「ほこ×たて」は、10月に番組協力者による告発で過剰な演出が発覚、番組が打ち切りになった。

全編ボカシを入れて業界の裏事情を暴露する「マツコの日本ボカシ話」(TBS系)も、たった1回の放送で打ち切りに。みのもんたは次男の不祥事を受けて、朝の冠番組を降板した。

そのほか、長寿番組の「笑っていいとも!」(フジ系)と「はなまるマーケット」(TBS系)が2014年3月に終了することが発表された。情報・バラエティー分野は、過渡期を迎えている。

テレビ朝日の3冠は実現するか

そんななか、各局の動向で注目されているのは、テレビ朝日(テレ朝)と日本テレビ(日テレ)の視聴率3冠王争いだ。図1は、ゴールデン帯(19時~22時)の視聴率の推移を表したもの。今のところ平均値では、12年度にゴールデンとプライム帯(19時~23時)で2冠を取ったテレ朝が両部門で首位を守っているが、夏以降は日テレが追い上げている。

理由のひとつは、テレ朝が得意とするバラエティーのスペシャル放送が、以前ほどには数字が取れなくなってきたこと。番組を2~3時間に拡大する手法が定番になり、集客の効力を失いつつある。対する日テレは、通常のレギュラー放送で固定客をつかんでいるのが強み。「半沢直樹」の裏で放送していた「行列のできる法律相談所」は打撃をほとんど受けず、10%以上の視聴率を維持していた。

図1 2013年のゴールデン帯(19時~22時)の視聴率推移。ビデオリサーチ関東地区調べのデータを基に編集部が作成。2012年度(2012年4月~2013年3月)ゴールデン視聴率1位の勢いに乗って、前半はテレ朝が優勢だったが、夏以降は日テレが追い上げている

2012年度の全日(6時~24時)は日テレが1位を死守し、2013年も同様に推移している。テレ朝は深夜帯のバラエティーは強いが、朝の情報番組ではフジの「めざましテレビ」や、日テレの「ZIP!」に追いついていない。帯番組で勝てるようにならないと、テレ朝の3冠王は現実味を帯びてこない。

一方、フジテレビは6月に就任した亀山千広新社長のもと、建て直しに取り組んでいるが、結果はまだ出ていない。2013年は、「ほこ×たて」問題のほか、看板番組へ育てようとしていた「ピカルの定理」が低視聴率のため打ち切りに。TBS「半沢直樹」のヒットの影響から、3月に続き、8月と9月も視聴率が5位に落ちた。

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音楽だけにはこだわらず、事業モデルが多岐に