現代人の食を正す 体重増加も防ぐ「スーパーフード」
5大スーパーフード(下)
生活習慣病を防ぎ、骨の健康も維持
ザクロは古くから世界各地で民間薬として使用されてきた果実。大豆イソフラボンのような植物性エストロゲンを含むともいわれるが、女性ホルモン様作用は今のところ、明らかになっていない。
注目されているのはむしろ抗酸化&抗炎症作用だ。LDLコレステロールの酸化が主因となるアテローム性動脈硬化がある10人に、ジュースを1年以上飲んでもらった研究で、細胞膜の酸化を防止する酵素の活性が上昇、LDLの酸化が抑制され、血圧も低下。結果、心血管病のリスクである頸動脈肥厚が30%以上低下したと報告されている。最新研究でも同様の効果が確かめられている(図1)。
女性は閉経後、女性ホルモンの減少と酸化ストレスの増大により骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にかかるリスクが生じるが、これも予防できそうだ。動物とヒトを対象にした8つの実験を解析した研究報告は、骨粗鬆症だけでなく骨関節炎(変形性関節症)や、関節リウマチにおいても好影響が期待できると結論している。
代謝を高めて疲労、ストレス、睡眠障害を改善
クコは中国や日本で古くから民間薬として用いられてきた果実だ。強い抗酸化力を持つゼアキサンチンやカロテンなどのカロテノイドほか、多糖類、ビタミンなどを豊富に含む。
東洋医学では加齢により衰えた心身を滋養し、機能を高める生薬としてよく用いられる。近年はさらに、西洋医学的な研究でも体内老化を抑える証拠が次々と挙がっている。
例えば代謝アップ効果。朝食に完熟したクコのジュースを加え、食後のエネルギー消費量を調べた研究では、用量依存的に代謝が高まった。14日間ジュースを飲み続けると腹囲が減少することも証明されている(図2)。
飲酒や甘いもののとりすぎなどによる肝障害の改善や、アルツハイマー型認知症の原因となるβアミロイドの毒性から神経を守る可能性を示す研究もある。
161人(18~72歳)を対象に効果を解析した研究では、疲労、ストレス、睡眠障害などを改善し、心身の快適さを高める作用があると結論づけている。
ミネラルや食物繊維の良い供給源 生活習慣病予防にも期待
キヌアは数千年前から、南米アンデス山脈のインディオが栽培してきた擬穀物(雑穀)だ。米、小麦などの穀類よりも高たんぱく、低炭水化物で、ミネラルや食物繊維を豊富に含む(図3)。
そのため、現代人の食を是正する新たな食材として期待されている。
実際、ラットにキヌアを5週間与えて飼育した実験では、対照食に比べ血圧上昇が抑制されたと報告されている。これはキヌアに含まれるマグネシウム、カルシウムなどのミネラルによる効果と考えられている。
善玉のHDLコレステロールの主要構成たんぱくであるアポリポたんぱくA1が上昇するとも報告されている。ストレス下におかれたラットの不安と記憶力低下が抑えられたという報告もある。
インスリン分泌を促進しにくい低GI食品なので、血糖値が気になる人にもお薦めだ。
(ライター 小林真美子)
[日経ヘルス2014年2月号の記事を基に再構成]
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