「おおかみこども」が海外でも高評価、細田守監督ヒットメーカー 2012~13(1)日経エンタテインメント!

コンセプトに“公共性”も

細田氏は、「面白いと思ったコンセプトが公共的かどうか」「作品を作る意義があるかどうか」を深く考えると言う。

細田 というのも、アニメ映画を作るのはものすごく大変だから。アニメの場合、小説のように自分一人で表現するのでなく、何百人ものスタッフが関わり、予算もかかります。予算面だけでなく、脚本、絵コンテ、どの作業も時間がかかるし、スタッフが現場で1枚1枚描き映像にしていく作業は膨大な労力が必要。自分の美意識や美的欲求だけで、こんな大変なことはできないですよ(笑)。より多くの人のためになるようなものじゃないと、この大変さは到底乗り越えられない。だからこそ公共的でなければいけないし、多くの人に共感してもらえる作品でなければならないと思うのです。

映画を作っていていつも思うのは、内容について会議をする場に、監督とプロデューサーと脚本家の3つの席がある。でも実は、もう1つ席がある。誰が座っているかというと、映画の神様。その神様の機嫌が良いか悪いかで、映画の命運が決まってくる気がして。

人事を尽くし、準備を整え、できることすべて間違いなくやっても、最終的には神様が決める。そういう点で、4席目の神様は、「おおかみこども~」に関してものすごくゴキゲンでした。おかげでまた次を作るチャンスをいただけた。しんどいこともありますが、作る喜びは本当に大きく、作っているときはやっぱり幸せです。

同作で“次の宮崎駿”と称され、国民的映画監督の道を歩み出した細田守氏。「おおかみこども~」制作に際し、自身のアニメーション映画制作会社“スタジオ地図”を立ち上げ、制作環境も整えた。神様は勤勉なチャレンジャーに微笑み、観客はその次作を心待ちにしている。

細田守(ほそだまもる) 1967年生まれ。富山県出身。1991年東映動画に入社し、「劇場版デジモンアドベンチャー」「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」などを手がける。2005年フリーとなり、2006年「時をかける少女」で注目される。2009年、オリジナルの「サマーウォーズ」も16.5億円のヒット。2011年、プロデューサー・齋藤優一郎氏と共に、「スタジオ地図」を立ち上げ、「おおかみこどもの雨と雪」の制作に挑んだ。

(ライター 波多野絵理)

[日経エンタテインメント!2013年4月号の記事を基に再構成]

[参考] 日経エンタテインメント! 4月号では、「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー」特集で、2012年のヒットを生み出した、今最も旬のクリエイターの方々を紹介しています。そのほか「ジャニーズ 新時代」特集も掲載。

日経エンタテインメント! 2013年 04月号 [雑誌]

著者:
出版:日経BP社
価格:580円(税込み)

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