2012年、一番多くの人に見られた連続ドラマは? 最も売れたアルバムは? どんな作品がヒットし、どんな現象が起こったか。エンターテインメント界の「映画」「テレビ」「音楽」に関連した動向を、「日経エンタテインメント!」誌データ分析コーナーレギュラー連載陣+スペシャルゲストが、セールスや視聴率などの年間ランキングデータから振り返る。
1年分のデータをまとめてみることで、見逃したり、聴き逃していたりした作品も見つかるかもしれない。3回連載の第1回は2012年の「映画」について、3人が座談会形式で紹介する(座談会は2012年11月に実施)。
A:「日経エンタテインメント!」編集部の映画担当。日本映画が得意。
B:インディペンデント映画会社社員。洋画事情に精通。
C:若手の映画宣伝会社社員。映画オタクあがり。
「海猿」「踊る大捜査線」を筆頭にシリーズものがランキング上位に
A 2011年は震災の影響で、年間興行収入が1811億円と2000年以来の低い数字。2012年は盛り返し、年間興収は前年比10%程度の増加で推移しているので、2000億円前後になりそう。
B 例年並みの成績だね。年間興行ランキングを見ると、「BRAVE HEARTS 海猿」などシリーズものが目立つ。
C デフレの時代に相変わらず1800円を支払うわけだから、観客は「つまらなかった」という思いをしたくない。作品選びに慎重になり、事前に内容が分かるシリーズものを選択する傾向が強くなっている表れでしょう。でも、シリーズものは回を重ねるごとに新鮮さがなくなるから、興行成績は右肩下がりになりがち。そんななかで、安定した人気を誇るのが「海猿」です。前作が80.4億円、今作が73億円。前作は入場料金が高い3D公開があったから、観客動員数で見ればほぼ同じ。
A 人気の秘密は?
C 「海猿」最大の見どころは救助活動のスペクタクル映像。2作目が座礁した大型フェリー、3作目が海上の天然ガスプラント、そして今作が東京湾に着水したジャンボジェット機。救助活動の舞台設定に毎回目新しさがあり、期待通りのスケール感で見せてくれることでしょう。
A 「海猿」と違って「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」は、前作の73.1億円から59億円へダウン。有終の美を飾れなかった。なぜかな?