2013/10/30

職場の知恵

若い女性も抵抗なし

立ち飲みといえば中心顧客は従来、中高年男性だった。「この3年ほどで、店づくりや料理のセンスがいい小さな店が増えて、若い女性が抵抗なく受け入れるようになった」と食の情報誌「dancyu(ダンチュウ)」の江部拓弥編集長は話す。2005年あたりから低価格の立ち飲み店が注目されて景気低迷とともに流行し、10年ごろから、立ってワインを飲める「バル」形式の洋風居酒屋が増えた。「独特の狭さからくるお客の一体感が、気分を高めてくれる」(同)

業態はさらに広がる。JR神田駅ガード下の「六花界」(東京都千代田区)は立ち食い焼肉店だ。この店の特徴は女性の一人客が多いこと。2つの焼き台が置かれた畳1畳ほどのテーブルを客が囲んで食べる形式で、十数人が同時に立つのがやっとだ。

「女性にむやみに声を掛けてくる男性客には店員が対応し、一人でも安心して楽しめるように配慮している」と店主の森田隼人さん。女性同士隣り合うようにしたり、酔った客には適当なタイミングで会計をしてもらったりと「皆が楽しめる雰囲気作りがうまい」と常連客、佐々木香織さん(33)は言う。

新手の店の出現で昔ながらの立ち飲み店への関心も高まっている。新業態と従来型の店とではマナーに違いはあるのだろうか。

会社員が集う新橋の人気店「立ちのみ竜馬」(東京都港区)の店主、砂押資さんは「新しい店では単価が高いところが多いが、うちのような従来型は薄利多売。グラスが空のまま30分以上いられると、ちょっと……」と言葉を濁す。店と客とは共存共栄関係。居心地の良さは客の気配りがあってこそだ。

周囲への気配りを

気持ちよく立ち飲みを楽しむために、守るべきマナーとは何か。立ち飲み店をよく訪れるという酒ジャーナリストの葉石かおりさんは「周りの人への気配り、気遣い、譲り合い」を挙げる。気軽さからつい長居をしてしまいがちだが「安い分、お金を使い続けるのがマナー。グラスに少しだけお酒を残してねばるのは厳禁。混んできたら他の客に場を譲って」。

他の人と距離が近いので「香水は控えめに。バッグは足元に置く」。高価な服装にも気をつけたい。「自分はよくても、店や他の客が『汚してしまうのでは』と気を使ってしまう」からだ。

立ち飲み店では、客同士のコミュニケーションが生まれやすい。話しかけにくい場合は「店主を軸に、他の客と三角のコミュニケーションを取ってみるといい。相手が嫌そうだと察したら会話を打ち切ること」と話す。