大学生、バイトが育む仕事観 やりがい探して

若者の早期離職の増加をどうすれば食い止められるのか。大学生が就職前にアルバイトを通じて「働く意味」を考えるのはひとつの解決策だろう。やりがいを感じられる仕事とは?――。学生が仕事観を固めるための工夫をしている2つの現場を訪ねた。
大学3年の山口さん(中)は週2回、学生目線で授業を補佐する

「普段はどんな店で買い物してる? その店でしか買えない独自商品やポイントカードがあると選ぶ動機になるよね」「各社の戦略はホームページや組織図を見るとわかるかもよ」

嘉悦大学(東京都小平市)の2~4年生向け「キャリアデザイン」の授業で、経営経済学部3年の山口詩織さん(21)は学内バイトのひとつ、SA(スチューデント・アシスタント)として働く。この日のテーマは「コンビニエンスストアと周辺産業を知る」。パソコンで調べ物をする約50人の机を行き来し、助言をする。

マニュアルなし

「授業に来なくなった子がいたら、どこでつまずいたか考える。同学年に対してはどんな話し方をすればいいか悩む。マニュアルはなく、難しい」。山口さんは2年春から週2コマを担当。各90分の講義前には準備も必要だ。「人の前に出るタイプではなかった」が、今では「人に何かしてあげることを通して自分も磨ける。そのために自分が半歩先にいようと努力する」意識が芽生えたという。

大学院生が授業補佐をするTA(ティーチング・アシスタント)制度を導入する大学は多いが、SAは珍しい。制度を統括する遠山緑生准教授は「教員と学生の橋渡し役はもちろん、SA自身が課題を発見して解決し、積極的に他者とつながる力を養えれば」と期待する。現在はSA約90人のほか、パソコン相談コーナーや図書館受付まで、全学生約1300人のうち約200人が学内で働く。

「言われた通り同じことを繰り返すタイプのバイトはどこか物足りなかった」。学内バイトをまとめる事務局のリーダー、3年の関佳太さん(22)は話す。高校時代からガソリンスタンドや宅配便、スーパーの品出しまで多くのバイトを経験した。今の仕事は「自分たちの大学を少しでも良くしようという志を皆で共有できる」やりがいを感じている。

全国大学生活協同組合連合会の2012年調査では、バイトをしている学生は64%とバブル期以降は減少傾向にある。1989年にバイトの職種で最も多かった家庭教師(39%)は10年には12%まで落ち込む一方、コンビニや飲食業を含む接客・サービスは48%に達した。バイト未経験の学生がじわり増え、勤務先は身近なチェーン店、という傾向は強まっている。

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