元CA・OL… 新たなビジネス、私が創る

仕事を通して感じたニーズを起業して実現する女性たちがいる。豊かな発想と大胆さ、組織に縛られない自由な考え方で、新しいビジネスを創り出す。
こだわりの卵を使った料理を提供する「エッグセレント」のCOOを務める神宮司希望さん(東京都港区)

「今日も良い一日を」。東京都心の六本木ヒルズにある卵料理専門店「エッグセレント」。朝日が差し込む店内に神宮司希望さん(29)の声が響く。「飲食店を開きたい」という夢を実現し、昨年11月に同店をオープン。早朝から長蛇の列ができ、1日に数百人の女性客が訪れる。

前職は全日空の客室乗務員だ。国際便では深夜に到着しても眠れず、早朝に出発という過酷な日々。そんな時に救われたのは、各国の充実した朝食だった。特にイングリッシュ・マフィンに落とし卵などを載せた欧米の定番メニュー「エッグベネディクト」は最高のご褒美だった。「元気が出る朝食文化が日本にもあればいいのに」

知人を介して出会った事業再生会社リヴァンプ(東京・港)の沢田貴司社長に熱意を込めてコンセプトを訴え、運営会社への95%の出資を引き出した。神宮司さんも貯金をはたき5%を出資。取締役最高執行責任者(COO)に就き、「小娘の夢を真剣に聞いてくれた期待に応えたい」と日本中の農家へ足を運び、卵を選んだ。

店内に並ぶ卵グッズも来店者の女心をくすぐる。前職時代のネットワークを生かし、世界中から買い付けた。「いつか自分の子どもに、夢を諦めない姿を見せたかった」(神宮司さん)。そんな思いは店を訪れる働く女性たちの、一日の始まりにつながっていく。

「軒先」の西浦明子社長

空きスペースを貸したい人と使いたい人とを仲介するサイト「軒先ドットコム」。1日数千円程度から利用でき、移動販売の場所を探す業者などに人気だ。運営する軒先(東京・目黒)は利用料の35%を手数料として得る。社長の西浦明子さん(44)は2008年、出産をきっかけに起業した。

ソニーでマーケティングを手がけ、政府開発援助(ODA)関連の仕事に転職。第1子を妊娠すると、産後に組織の中で働くのは難しいと考えて07年に退職した。出産までの間に家でできることをと雑貨の輸入販売を始める。しかし販売する場所がない。近所の貸店舗は3坪で1週間21万円。「安価に貸し借りできたらビジネスになる」。大きなおなかを抱えながらアイデアを書き出した。

当初は登録物件を集めるため「夫が近所の商店街を回り、空きスペースの登録を頼んで回った」。出産から5カ月後の08年4月、数件の空きスペースを登録したサイトがオープンした。

09年4月に法人化して規模を拡大。物件登録数は2600カ所、成約数は月1000件に達した。12年には空き駐車場を貸し借りするサイト「軒先パーキング」も立ち上げた。会員数は既に1万人を超える。

出産と起業。同時期に経験したが「間違っていなかった」と振り返る。「今ビジネスになると感じたことが5年後もそうだとは限らない」。6歳になった長男を送り迎えしながら、今日も新しいアイデアを練る。

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