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自分をシニアだと思いますか。調査会社マクロミルの2012年集計によれば60歳以上の48%が「(シニアは)ふさわしくない呼び方」と回答し、60~64歳女性では63%に達した。高齢者や熟年、還暦世代などを含め、年齢を意識せずにはいられない言葉に囲まれて生活する当の本人たちの心境はいかに。消費の現場から探った。

細身の衣料充実

京王百貨店は婦人服フロアの改装で若々しい感性を持つ客層を意識した(東京都新宿区)

京王百貨店は婦人服フロアの改装で若々しい感性を持つ客層を意識した(東京都新宿区)

シニアの心をつかむ店として知られる京王百貨店新宿店(東京都新宿区)。売上高804億円(13年3月期)の7割超を50歳以上が占める。19日、2~4階で展開する主力の婦人服フロアが7年ぶりの改装を終えて営業を始める。

「30~40代向けの華やかなキャリア系ブランドのフロアを1階上がると、色もデザインも一気に地味になるシニア売り場になる店が多いけど、ここは違う」。さいたま市に住む主婦の田中章子さん(64)は月2~3回は買い物に来る。色は赤や上品なピンク、タイトなシルエットの服が好き。「主人に冷やかされる」と笑いながらも、デニムパンツをはく日も多い。何より嫌いなのは「年齢で線引きされること」だ。

「自身をシニアだと思っている方は少なく、お客様の外見も売れ筋も10年前とはまったく違う」と分析する同店は社内では70歳以上をシニア、60歳代をアクティブシニアと定義する。シニアや年齢を感じさせる表記は極力使わない。改装に伴い、細身のカットソーやパンツを充実させ、若い世代と同様に重ね着を楽しみたいニーズに対応する。「体形を隠すゆったりした服を好むのは過去の話。下の世代にも受け入れられるスタイルが不可欠」という。

シニア割引は使わない

「シニア割引は使わないと決めた。たった700円を節約するために年寄り扱いされたくない」。川崎市の男性会社員Aさん(61)は孫と一緒に年数回、東京ディズニーランドに出かけるのが楽しみだ。1日券は大人6200円で60歳以上は割引になるが「窓口で運転免許証を見せて、生年月日から年齢を計算されて待たされて。想像するとうんざり」だという。

運営会社のオリエンタルランドによれば「基本的には(シニア券は)自己申告で購入でき、入場時に年齢確認をお願いする場合もある」程度で、心配は杞憂(きゆう)に終わる可能性は高い。「孫から『おじいちゃん』と呼ばれるのも実は好きではなくて。クルーズ船の旅や手すりが多いバリアフリー住宅の案内が最近よく届くけど、昭和の60代でもあるまいし」。Aさんは今なお、年齢にピリピリしている。

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