「食事、この日にしませんか?」 そのテクは学びたい
キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論
こんにちは。ライターの大宮です。都内にある老舗の中華料理店に来ています。ボリュームのあるランチコースを食べながら、広告制作会社で働く山中弘子さん(仮名、38歳)の仕事と恋愛の近況を聞き取っているのです(前回記事はこちら)。
手作り弁当と毎朝のヨガで体調を整え、日々の仕事にまい進している弘子さん。働き盛りの中堅社員です。「最近は、『いま何を優先するべきか』を見すえて仕事に取り組めるようになってきました」と控えめに語ります。
しかし、恋愛に関しては成長がありません。あ、厳しい言い方でごめんなさい。僕は弘子さんと旧知の間柄なので、「いいかげんに目を覚まして男選びの基準を変えたら?」と提案したくなってしまうのです。
そんなことを言いつつも、弱みのある人間に愛嬌というか、魅力を感じてしまうのもまた事実です。仕事は優秀で家事もばっちりこなせて、人当たりもいい弘子さんが幸せな結婚生活を送っていたら、完璧すぎて近寄りがたいかもしれません。
前回お話したように、弘子さんの場合は、「生き生きとして強気な男性」にどうしようもなく心ひかれてしまい、誠実であるか否かは問わない傾向があります。このため何度も同じような男性にひかれては別れを繰り返してきたといいます。
ちなみに僕も「好きな女性のタイプ」が20年間ぐらい変わっていません。エキゾチックな外見(好きな女優はペネロペ・クルス)で、よく食べてよく飲んで、僕のことが好きそうな女性、ですね。熊本や鹿児島あたりにまだ見ぬすてきな女性が僕を待っている予感がします……。
趣味は合うけど結婚は…
妄想はこれぐらいにして弘子さんの恋愛話を続けますね。昨年までは4年近くも既婚男性とお付き合いしていた弘子さん。その前の恋人も「同じようなタイプだった」とのこと。「仕事はバリバリとやっていて、見た目が若々しくて生き生きしている人ですね。付き合い始めたとき私は30歳で、彼は2歳年上でした」
その彼を正也さんと呼ぶことにしましょう。正也さんは大手の広告代理店で働いており、弘子さんとは仕事がらみの飲み会で知り合ったそうです。
「趣味も合うし、話も面白い人でした。でも、いつも神経が張りつめている人で、私とご飯を食べているときも携帯電話をチェックしたりしているのです。私を無視しているわけではないけれど、気持ちが仕事にいっているんだろうな、と感じるときもありました。ピリピリしていて怖かったので結婚したいとは思いませんでしたね」
それでも2年間ほどはお付き合いしていたのですが、正也さんは仕事が忙しくなるとまったく連絡が取れなくなり、いつしか付き合っているのかどうかわからない状態になったそうです。
「最後はきちんと話して別れました。振り返ってみると常に上から目線で、私を同等とは絶対に見なさない人でした。すごく大きな仕事をやっていてエライなとは思いますが、プライベートにまで仕事の上下関係を引きずられるのは嫌です。私はそこまで尽くせません」
常に上から目線で自分を同等とは絶対に見なさない人……。知り合いレベルでも嫌ですよね。でも、外見と雰囲気が好みのタイプで、気まぐれに優しくしてくれたりすると、その「強さ」にひかれてしまう気持ちは、男性の僕にでもちょっとわかります。
サラリと誘う既婚男性と恋に落ち
そんな弘子さんは正也さんと別れてから2年後に、あるパーティーで好みのルックスをした男性から積極的に声をかけられました。それが昨年まで不倫関係にあった浩一郎さん(仮名)です。
「不倫だなんて露骨に言わないでくださいよ……。彼はお祖母ちゃんとお母さんに溺愛されて育った人で、とても優しいんです。威圧的なところはまったくない男性ですよ」
あのですね、弘子さん。妻がいるのに独身女性に手を出す男性が「優しい」のは当たり前ですよ。彼はあなたにも奥さんにも負い目があるんですからね。
おっと、つい説教モードになってしまった。落ち着け、オレ。さて、浩一郎さんは弘子さんにどんなアプローチをしたのでしょうか。
「それがすごく上手なんですよ。まずは普通に名刺交換しますよね。その後にメールのやり取りをしても、『今度食事に行きましょう』なんてあいまいに誘うのではなく、お店の候補を挙げて『来週はこの日とこの日が空いています。いつにしますか?』と具体的にサラッと話を決めていくんです。出会ってから2カ月後にはお付き合いをしていました。彼と別れてから婚活をしていた時期もありましたが、彼のやり方はとても参考になるなと思い出したりしていました」
ちょっと待ってください。さらに浮気をして別の女性と再婚してしまった浩一郎さんのことを怒っていないのですか。もしかして、途中で自分にも新たな恋人ができて浩一郎さんは完全に過去になっている、とか? 弘子さんの真意は……来週に続きます。
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/
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