38歳・広告会社勤務 好きなタイプは昔から同じ
キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論
はじめまして。ライターの大宮です。僕はいま39歳。バツイチの既婚者です。子どもはいません。4年前に学生時代の同級生と再婚して、愛知県の海沿いの町に住んでいます。
東京圏以外で暮らすのは初めてですけど、意外といいものですよ。歩行者よりも自動車とカモメが多いこの小さな町。最初の半年ほどは妻しか友だちがいなくて寂しかったのですが、今では行きつけの飲み屋や同世代の友だちもできました。原稿はこうして自宅で書いて、月に10日間ぐらいは東京などでインタビューや打ち合わせをしています。完全に出稼ぎ気分です。
なかなか本題(しっかり働いているアラフォー独身女性への恋愛インタビューです)に入らずにすみません。すぐに脱線して話が長くなるのが僕の癖なのです。妻からは「冗長! 回りくどい!」とあきれられています。
言い訳をさせてもらうと、僕は読者の方(皆さんのことです)とおいしいものでも食べながらのんびりおしゃべりする気持ちで書きたいのです。本題に入る前にちょっとウダウダしたい。そうすると、共感や親しみのようなものを前提にインタビュー内容をお伝えすることができる気がします。
「衝撃の事実」や「恋愛必勝ノウハウ」などは一切ない文章なのですが、「こんな人がいるんだね。でも、ちょっとわかるな。私の場合は……」と気楽に語り合うつもりで読んでもらえるとうれしいです。
賢女なれども恋愛下手
今回のインタビュー相手である山中弘子さん(仮名、38歳)にも、都内にある老舗中華料理店で長めのランチをしながら話を聞きました。おいしいものを知っている女性なのでお店選びには少し緊張しましたよ。
僕は10年ほど前に弘子さんと知り合いました。広告制作会社で働いている弘子さんは、知的で控えめでよく気がつくすてきな人です。たまに会うと、センスのよい手土産をくれたりします。女子力高いな~。
しかし、彼女には愛すべき短所があります。長年の付き合いなのではっきり言わせてもらいますが、男性選びのセンスが悪い、というか惚れた男性に甘すぎるのです。1年前までは、4年近くにもわたって既婚男性と半同棲をしていました。その男性は弘子さんと交際中にさらに浮気をした相手と再婚。妻とは離婚して弘子さんとも別れる、という意味不明の結末を迎えています。
賢い弘子さんがなぜ恋愛にだけはおバカさんになってしまうのでしょうか。誤解されないようにあわてて補足すると、弘子さんはだらしない女性ではありません。一人暮らしはかなりちゃんとしています。
「朝食は食べたり食べなかったりですが、お昼は手づくりのお弁当を会議室で食べています。お弁当仲間にはおじさんもいますよ。おかずですか? 作り置きしている野菜を詰めたり、玉子焼きや青菜を入れたりする程度です。ご飯は豆ご飯にしています」
夜型の人も多い業界で働いていますが、弘子さんは生活のリズムを大切にしています。普段は残業を1時間程度に抑えているそうです。その代わり、午前中に集中して働くために、出勤前にヨガ教室に通っています。
「会社近くの教室で、先生と私たち生徒4、5人でヨガをするのが日課です。のんびり歓談してから15分ぐらい体を動かすと、頭も体も調子がよくなります。私は低血圧で冷え性なので……。ヨガ教室で1日のリズムをつくってもらっているんです」
朝からフル回転で仕事をして、残業はできるだけ少なくして帰宅して明日に備える。食事と運動も適度にして体調管理をする――。まさに自立した社会人の生活習慣ですね。
弘子さんは現在の会社は2社目で、20代半ばのときに中途入社で正社員として採用されました。助け合うけれど干渉はしない雰囲気で、自分の仕事をきっちりやっていればマイペースで働ける職場なのだそうです。
「この年齢になって、突き詰めるべき仕事と適当にこなせばいい仕事の切り分けができるようになりました。以前は忙しくなるほど『やらなくてもいいけれどやりたい仕事』に取り組んでしまっていましたが、最近は『いま何を優先するべきか』を見すえて働いています。すごく狭い範囲での専門のようなものができてしまったので、転職はしにくいですね。フリーになったとしても、いまの会社の仕事を請け負うことになるでしょう」
30代後半は仕事も自分自身のこともわかってくる年代ですよね。「分別盛り」というのでしょうか。ただし、恋愛感情に関しては若い頃とまったく変わらなかったりするのです。弘子さんの場合は、「生き生きとして強気な男性」にどうしようもなく心ひかれてしまい、誠実であるか否かは問わない傾向があります。上述の既婚男性と出会う前にも同じような男性と付き合っていたそうです。その話はまた来週に。
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。食生活ブログをほぼ毎日更新中。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京と愛知で不定期開催。
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