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4Kに対応、音声検索が使いやすいファイアTV 戸田覚のPC進化論

日経トレンディネット

2016/3/8

Fire TVは四角い箱状で、コンパクトなサイズも魅力だ
日経トレンディネット

 ユーザー視点の辛口評価で好評の戸田覚氏が、アマゾン(Amazon)のファイアTV(Fire TV)をチェックしました。ネットの動画配信などをテレビで表示するための端末です。スティック型の「Fire TV Stick」と、ボックス型の「Fire TV」があり、ここでは高機能なボックス型をレビューしています。どんな人におすすめなのでしょうか。

 テレビにつないでさまざまなコンテンツを再生するデバイスが、かなり出そろってきた。アップルの「Apple TV」しかり、グーグルの「Chromecast」しかり。アマゾンもこのジャンルに参入していて、「Fire TV」をリリースしている。今回は、最近発売された上位モデルをレビューしたい。

 実は、この製品の最大のポイントは4K動画の再生なのだが、残念なことに僕の自宅にはまだ4Kテレビがない。おそらく、読者の多くもそんな状況だろう。テレビは陳腐化するまでに時間がかかるので、普通の家庭ではそうそう買い替えないと思う。

 僕としては「4K動画を見たい人がFire TVを買う」のではなく、「4Kテレビを手に入れたから、Fire TVで高画質な動画を見てみようか」という人が多いような気がしてならない。また、4Kを本気で楽しみたいなら、無線LANの速度もネックになりそうだ。

■セットアップにかかる時間は……

 Fire TVの本体は小さな四角い箱のようなスタイルだ。とても薄いので、テレビラックなどの隙間にもうまく収まるだろう。テレビとはHDMIケーブルで接続するだけだ。真っ黒な本体は格好いいのだが、寝室など、暗い部屋だと見失ってしまうので、ボタンを光らせるなど工夫してほしかったところだ。

 4Kに対応するためか、専用のクアッドコアプロセッサーに加え、グラフィックスも強化されている。セットアップから普通に利用してみたが、これがかなり快適だった。古いパソコンを新製品に買い替えた感じ……とまで言うと大げさかもしれないが、テキパキ感がとても気持ちいい。

 ただし、セットアップはそれなりに時間がかかった。ネットワークに接続するとOSのアップデートが始まり、なんとリモコンまで更新ファイルをダウンロードする必要がある。設定項目が多いわけではないのだが、ダウンロードや処理待ちがかなりあるので、小一時間は覚悟しておいたほうがいいだろう。

 面白いのがmicroSDカードスロットを備えていること。後述するが、ゲームなどはデータをダウンロードして利用するので、容量が不足したら追加できるように考えられているのだ。何年間か使う製品だと考えると、ありがたい配慮と言えそうだ。

セットアップにはちょっと時間がかかる
テレビとの接続はHDMI。microSDカードスロットを搭載している

■リモコンの使い勝手は上々だ

 付属のリモコンはなかなか使いやすく、ボタンも多くないので迷わず使えるだろう。Fire TVの最大の特徴のひとつが音声検索で、これは非常に便利だ。リモコンのマイクボタンを押しながら、番組名などを声に出して言えば認識される。認識率はスマートフォン(スマホ)の音声検索と似たようなものだが、利用機会は間違いなくスマホより多くなるだろう。

 テレビ系のデバイスは画面上のキーボードを利用するものが多く、文字入力が大きな課題となっている。その点、音声入力なら快適に操作できる。たまに認識ミスがあったとしても、スクリーンキーボードよりは楽だ。ただし、音声検索ができるのは、アマゾンが持っているタイトルだけのようだ。

リモコンにマイクボタンが付いていて、音声入力ができる
文字入力はやっぱり面倒。アマゾンが提供しているタイトルを探すなら音声入力が利用可能だ

■ゲームは完全に期待外れだった

 Fire TVではゲームアプリで遊ぶことができる。このゲームにも期待していたのだが、レースゲームなどは、グラフィックスが20年前のテレビゲームのよう。しかも、リモコンで操作するのはどう考えても無理があり、楽しくプレイできない。ゲームタイトルによるのだろうが、ちょっとプレイするたびに課金を促されるのには閉口した。

 ゲームの画質は、間違いなくAndroid(アンドロイド)タブレットやスマホのほうが上だ。4K動画が見られる高画質のデバイスとして期待したのだが、ゲームには大いにがっかりさせられた。

課金のゲームが多いのが残念
このクォリティーでは、タブレットにも及ばない

■動画配信を利用するならどれがいい?

 Fire TVを試用してみて感じたのが、HuluやNetflixなどのネット動画を見るために手に入れるなら、結局のところ、Apple TVやChromecastなどを含めて、どのデバイスも大差ないということだ。ただ、Fire TVの動作は快適なので、おそらく数年間は陳腐化しないだろう。4Kに対応しているので将来性はバッチリ。そもそも、現時点で配信されている4Kのタイトルは多くはなく、レンタルビデオなどでもほとんどないのが実情だ。

 実は、アマゾンプライム会員は、無料でアマゾンの動画配信が見放題になる。プライム会員にはFire TVは最適な端末だ。僕の場合、送料無料などに魅力を感じてプライム会員になっているが、ついでに動画も無料で見られるのはうれしい。ただし、タイトル数はHuluやNetflixに及ばないし、重複するものも少なくないことは覚えておいてほしい。

 余談だが、個人的にはオリジナルのドラマが充実しているNetflixが、現時点では最も魅力的だと思っている。

アマゾンの動画配信で視聴できるタイトルの数はHuluなどに遠く及ばない
戸田覚(とだ・さとる)
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2016年1月12日付の記事を再構成]

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