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1000万本売れた、「30度カーブ」が生む切れ味

プラス 「フィットカットカーブ」シリーズ

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NIKKEI STYLE

日経デザイン

文具・事務用品メーカーのプラスが2012年1月から発売している家庭用はさみ「フィットカットカーブ」シリーズが人気だ。同社が独自に開発した「ベルヌーイカーブ刃」により、刃の根元でも刃先でもどの位置で切っても優れた切れ味を発揮する。

根元でも刃先でも刃のどの部分で切っても自然と約30度に開くように設計したのがベルヌーイカーブ刃だ。ものを切るのに最適なはさみの刃の角度は約30度──。硬いものから軟らかいものまで、どんなものでも切りやすい刃の角度を研究した結果、見出した数値だ。数学者ベルヌーイの対数らせんの研究を参考にしたことから名付けた。

さらに、粘着テープを切っても刃がベタつかない「プレミアムチタン」や、海藻など滑りやすい食材も楽に切れる「洗えるチタン」など、日本らしい細やかなニーズに応える新商品を次々と開発している。324円(税込み、以下同)から972円というリーズナブルな値段も人気に拍車を掛け、発売からわずか4年でシリーズ累計1000万本以上を売り上げた。

2015年11月には、持ち運びに便利な携帯用のはさみ「フィットカットカーブ ツイッギー(以下、ツイッギー)」も発売した。ツイッギーは、年間30万本の出荷目標を掲げている。

万能な携帯ハサミを目指す

フィットカットカーブ・シリーズの最新作ツイッギーは、全長135mmのスリムなペン型はさみ。その見た目から、英語で小枝を意味する「Twiggy(ツイッギー)」と命名した。「携帯用のはさみは、使うときよりも持ち歩いている時間の方が長い。切れ味はもちろんだが、ペンケースや化粧ポーチにすっきり収まるようなサイズに落とし込んだ」と説明するのは、プラスのマーケティング本部・第二製品事業部次長兼金属製品グループの福井美弥子・プロダクトマネージャー。

開発が始まったのは、2年以上前のことだ。携帯はさみ市場には、文具メーカー各社がすでに参入しており「2011年時点で、各社の商品が出そろっている状態だった。当社は最後発だったが、だからこそ携帯はさみの課題を解決する商品ができると考えた」と、同グループの久保田創・アシスタントプロダクトマネージャーは振り返る。

開発に当たり、携帯はさみの使用実態を調査。約1000人の回答者のうち、およそ半数の女性がはさみを持ち歩いていると答えた。主な用途は、服のほつれた糸や商品タグなど「線状のもの」をプチっと切るという回答が3割ほど。約6割の人は、お菓子の袋やクーポン券など薄いビニールや紙など「距離のあるもの」をチョキチョキ切ると答えたという。

それを踏まえて、他社製品を実際に使ってみると「それぞれ一長一短があり、ユーザーが求めるニーズすべてに応えている万能な携帯はさみがなかった。ベルヌーイカーブ刃を使用し、切れ味と操作性のどちらも優れた商品を目指すことが決まった」(久保田アシスタントプロダクトマネージャー)。

切れ味と使いやすさの両立

ツイッギーは、安全性を考慮してキャップを外しても刃先は閉じたままの状態になる。そして、ハンドル部分を親指で刃先に向かってスライドするとロックが解除され、内蔵したばねが広がって刃先が開く。シンプルな仕掛けだが、開発で最も苦労したのはバネによる刃のスムーズな開閉と切れ味の良さを両立させることだったという。

はさみの刃はどれも、根元から刃先に向かってわずかに内側に湾曲している。「拝み曲げ」と呼ばれ、刃を曲げれば曲げるほど切れ味は良くなる。だが、その反面、刃と刃の摩擦も大きくなり、開閉に力が要る。ツイッギーは刃先を閉じるときはハンドルを親指で押すが、刃先を開くときはばねの力だけで開く仕組みだ。すなわち、ツイッギーの場合、刃先を曲げて切れ味を良くしようとすると、バネを大きく強いものにする必要がある。

しかし、持ち歩くのに便利なように一般的なボールペンと同等サイズに収めることは当初から譲れないポイントだった。その結果、内蔵できるばねのサイズも限られた。劣化しにくい素材であることも重要で、板ばねや樹脂などさまざまなばねで検証を重ねた。

キャップと本体の色を変えたカラフルなカラーリングについては「メーンターゲットは、20代から40代の女性だが、携帯はさみは嗜好品に近い。そこで年代や性別問わず選んでもらえるように甘くなりすぎないよう工夫した」(福井プロダクトマネージャー)という。

鶏肉の皮も切りやすい

フィットカットカーブ・シリーズは切れ味の良さに加え、ハンドルの持ちやすさも魅力の1つだ。「ツイッギー」と「洗えるチタン」以外、すべてのグリップに2種類の樹脂を使用し、グリップ内側に柔らかい樹脂を当てた。厚紙を切るときなどでも指が痛くなりにくい。機能性に優れたグリップ部分のデザインは、プロダクトデザイナーの岩崎一郎氏が手掛けたという。

ラインアップは「スタンダード」「ロング」「フッ素コート」「チタンコート」「プレミアムチタン」「洗えるチタン」「ジュニア」「ツイッギー」の8種類。フッ素コートは、粘着テープを切ると刃がべたつくという悩みを解消するために、刃にフッ素をコーティングした。チタンコートは50万回以上の使用に耐える耐久性を誇る。

そして、この2つの機能を併せ持つのが、シリーズ最高モデルの「プレミアムチタン」だ。フッ素コーティングで粘着物を付きにくくするのではなく、刃の表面を立体的な曲面にすることで刃と刃が接する部分を極限まで減らしている。刃の内側を指で触ると、中央部分が緩やかにへこんでいることが分かる。

2014年1月に発売した「洗えるチタン」は、キッチンばさみとして使用できるタイプ。水に強いグリップと、食材が切りやすいように片側の刃がのこぎりのような小さなギザギザ刃になっているのが特徴だ。

はさみそのものの基本的な構造は昔から変わらない。だが、細部を工夫し、1つひとつの部品にこだわり抜くことで、ワンランク上の品質を実現する。日本らしいモノづくりの典型と言えるだろう。

(ライター 西山薫)

[日経デザイン2016年1月号の記事を再構成]

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