「25年間研ぎいらず」の包丁 切れ味を比較検証
常識が変わる日用品&文房具
四半世紀も研がなくていい──。そんな夢のようなうたい文句を掲げる包丁がフランス生まれの「EVERCUT(エバーカット)」だ。"25年間"の根拠は、英国研究機関のテストによるもの。厚い紙を何度も切るテストで、一般的なステンレス包丁は17回で切れ味が劣化。エバーカットは切れ味が劣化するまで6600回かかり、「ステンレス包丁の約300倍の耐久性があることがわかった」(国内販売元のフラット・クラフト)。
広く使われているステンレス包丁が1カ月に1回研ぐ必要があると考えると、その300倍の耐久性を持つエバーカットは300カ月、すなわち25年に1回研げばいいという計算になる。
エバーカット本体はステンレスでできており、4000℃以上にもなる高熱のレーザービームで刃先の表面に炭化チタンを溶融するという特殊な加工が施されている。横向きの荷重に弱く、刃先が折れやすいといわれているセラミック包丁とは異なり、カボチャなどの硬い食材を切ることもできる。
実際の切れ味はどうか。ステンレス包丁とエバーカットの三徳包丁を比較した。
それぞれの包丁でカボチャを毎日100回ずつ切り、その後、トマトをカットする際の感覚で切れ味の変化を見た。テスト開始時はどちらの切れ味も非常に良かったが、1週間が過ぎるあたりでステンレス包丁の切れ味が鈍り始め、トマトをカットする際にやや違和感を感じるようになった。だが、エバーカットは当初とほとんど変わらない切れ味を持続。ステンレス包丁と比較すると切れ味を長期間保持できていた。
その後も切れ味が落ち続けるステンレスに対し、エバーカットはほぼ同じ切れ味を保っている印象。「エバーカットは切れ味の落ち具合が止まって安定する」(フラット・クラフト)という。
25年後の状態は予想もつかないが、このままいけば当分の間は切れ味を保てそうだ。毎月の包丁研ぎ作業から解放されるなら、1万4800円という価格は非常に得に感じる。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2015年9月号の記事を再構成]
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