産休直前、職場・取引先へ「ご挨拶メール」の作法
産休に入る際忘れてはいけないのが、取引先や社内外のお世話になった人たちに対する「ご挨拶」です。特に育休復帰後もまた働き続けることを考えると、また戻ってくることをきちんと伝えてから産休に入りたいもの。最終出社日までバタバタと引き継ぎやデスクの整理などに追われ、きちんと挨拶する時間が取れなかった、ということのないよう準備をしておきましょう。
宛先をジャンル分けして文面を分けて準備しよう
挨拶メールを送る際は、取引先、社外の仕事上の関係者、社内の仕事上の関係者、職場の上司・同僚…などいくつかのジャンルに分けて、文面を分けて送るようにしましょう。メールを送る時期なども、それぞれの人との関係によって変えるようにします。
取引先や社内外の(仕事上の)関係者に対しては、後任を連れて挨拶に伺ったうえで、上司や同僚と時期を相談の上、産休前に改めて挨拶メールを送るといいでしょう。休暇に入る前に何かあれば連絡してもらえるよう、最終出社日の1週間前までには送付するようにします。
取引先や社内外の関係者向け挨拶メールのポイントは3つ。
【取引先や社内外の関係者向け挨拶メール】
1.出産予定日ではなく、産休に入る日と最終出社日を知らせる
個人的に親しい場合は別として、仕事上のメールでは出産予定日を書く必要はありません。産休に入る日、最終出社日を知らせるようにしましょう。
日ごろよりお世話になっております。○○社の○○です。
さて、私事で大変恐縮ではございますが、○月○日(○)より産休をいただくこととなりましたので、ご連絡申し上げます。最終出社日は○月○日(○)の予定です。
2.仕事上、迷惑がかからないよう配慮する
迷惑をかけることを詫びつつ、後任についての情報など、休暇に入ってしまうことで不都合なことがないように、という配慮した内容を心がけます。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。出社日もあと○日となってしまいますが、現在の業務に関して、何かございましたら何なりとお申し付けください。
また、休暇中の業務につきましては、以下の者が担当いたします。何かございましたら遠慮なくお問い合わせください。
氏名 電話 E-mail
3.復帰の意思は伝えつつ、復帰予定については明言しない
復帰予定日は、子どもの健康状態や保育園入園ができるかどうかなどによって、予定をしていても変わる可能性もあるので、あえて曖昧にしておきます。
なお職場復帰は、○年の春以降の予定です。
その際は、また新たな気持ちで仕事に取り組んでまいりますので、改めてよろしくご指導いただけますようお願い申し上げます。
本来はお伺いしてご挨拶申し上げるべきところ、メールでのご挨拶とさせていただきます。
引き続き、弊社をご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
職場の上司や同僚には、メールではなく、顔を見て挨拶を
安心して産休に入ることができるのは、仕事をバックアップしてくれる同僚や上司のおかげです。同じ職場の上司や同僚に対しては、挨拶メールだけでなく、最終日にはお菓子やカードなどを手渡しするなど、感謝の気持ちを伝えつつ、じかに挨拶しましょう。
職場の上司や同僚に対する挨拶メールは、ケースバイケースですが、産休に入る直前に送ることが多いようです。その際は、上記の内容と共に、妊娠期間中を支えてもらったことへの感謝と迷惑をかけてしまうことへのお詫びの気持ちをきちんと伝えるようにしましょう。
ポイントは2つ。
【職場の上司や同僚に対する挨拶メール】
1.妊娠期間を支えてもらったことへの感謝の意を伝える
仕事をしながらも、妊娠期間を無事に過ごせたことに対し、周囲のサポートに対する感謝の気持ちを伝えましょう。
妊娠期間中は、体調を崩してお休みをいただくなど、いろいろとご迷惑をおかけしました。皆様の優しいお心遣いに支えられ、本日まで勤務することができました。本当にありがとうございました。
2.産育休のことを気遣いつつ、復帰の意思を伝える
出産はおめでたいことですが、職場の上司、同僚にとっては、仕事を引き継ぐことで仕事が増えたり、忙しくなったりと、迷惑がかかってしまうのも事実。その点には十分配慮が必要です。
長期にわたって、皆様にご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳ありません。
育休後はまた皆様と共に元気に働きたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
職場の上司や同僚、後任者に対する挨拶メールについては、産休に入った直後に、自宅から改めて「お世話になりました」とお礼のメールを送るという方法もあります。一度、メールのやり取りをしておくと、その後も気軽に連絡が取りやすくなるので、産休中も職場の人達とのつながりを保ちやすくなります。
産休に入る一週間前にチェック 最後のチェックリスト
産休に入る直前は、様々な手続きや引き継ぎ、デスクやロッカーの整理など、やることが多くてバタバタするもの。持ち帰る私物が多い場合などは、計画的に持ち帰らないと、最終日に大荷物となってしまうことも。やるべきことを書き出して、早め早めに準備をしていきましょう。
一番大切なことは、仕事の引き継ぎをしっかりと行うことと、仕事の資料やデスク周りなどの整理整頓です。長期休暇を取ることで既に迷惑をかけているうえに、引き継ぎが不十分だったり、資料類が整理されていなかったりすると、不在で迷惑をかけているところに更にマイナスイメージを与えてしまいます。
整理整頓だけでなく、デスクや棚、椅子をきれいに拭くなど掃除もきちんとして「立つ鳥跡を濁さず」。すっきり気持ちよく産休に入りましょう。
<産休前最後のチェックリスト>
□取引先への挨拶は済ませたか
□引き継ぎで伝え忘れたことはないか
□資料類などは分かりやすくまとまっているか
□パソコンのデータ、メールや、デスクトップなどは整理したか
□机、ロッカーはきちんと片づいているか
□私物の忘れ物はないか(トイレのロッカーなども確認)
□提出書類など社内の手続きは済んだか
□休暇中の連絡先は伝えたか
□職場の上司や同僚への挨拶は済ませたか
□職場の上司や同僚に、復帰する気持ちは伝わっているか
人材育成コンサルタント/キャリアアドバイザー。株式会社キャリアン 代表取締役。専門は人材育成・組織能力開発やマネジメント・キャリアに関するコンサルティング。メーカー入社後、1989年にキャリアに関する事業を中心とした人材育成子会社を立ち上げ常務、社長、会長。早期よりキャリアアドバイスを普及した経験を活かし、2013年に一人ひとりの生涯キャリアを支援するキャリアンを設立。メーカーの管理職時代に2人の男児を出産、産休・育休および中学受験の経験も。現在は、「管理職からのキャリアデザイン」「ダイバーシティ・マネジメント」「DEWKS(Double Employed with Kids)のキャリアデザイン」などのセミナーに加え、仕事と結婚・出産・育児・教育に悩むワーキングマザーはもちろん、男性管理職や両親(祖父母)からの相談も増えている。神奈川県教育委員会委員。内閣府、文部科学省等の委員を歴任。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」「企業の女性活用度調査」審査員を務める。
(ライター 井上佐保子)
[日経DUAL 2015年8月28日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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