動物は鼻がつまったらどうするのか

2015/9/12
ナショナルジオグラフィック日本版

舌で鼻をほじるキリン。南アフリカで撮影(PHOTOGRAPH BY RICHARD DU TOIT, CORBIS)

「ゴリラの鼻の穴はなぜあんなに大きいのかって? 君は彼らの指の太さを見たことあるだろ?」

これは、米国ナショナルジオグラフィックのブラッド・スクライバー副リサーチディレクターが使ったジョークだ。そして、彼は続けた。「では、他の動物は鼻をかむのだろうか?」

彼らにティッシュはないものの、ただくしゃみが出るのを待つのではなく、意図的に鼻づまりを解消する動物がいる。

かむ

「サルはいつでも鼻をかんでいますよ」――片方だけのこともあれば、両方同時にかむこともある――と、メールで述べたのは、米フロリダ州ジャクソンビル動植物園の哺乳類担当スーパーバイザー、トレイシー・フェン氏。

それだけでなく、ゴリラは指を使って味見をしている――というのは、彼女なりのオープニングジョークだ。

上品なボノボは、赤ん坊の鼻づまりを治す特別な方法を持っているのだとか。

「ボノボの母親が、子どもの鼻に詰まった鼻水を口で吸い取っているのを目撃したことがあります」

母親だもの。

たらしてなめる

多くの有蹄動物の鼻の穴は、前や上に向いており、ただ鼻息を出すだけで鼻孔を通すことができる。キリンのように、何かが詰まっていれば、長い舌を使ってそれを取り除く動物もいる。

見かけで判断しないように。あなたの飼い犬だって、同じことをしているかもしれないのだから。

米ペンシルベニア大学獣医学部ライアン動物病院の内科に勤める獣医マーク・ロンドー氏によると、たとえば慢性的に鼻水が出ている犬は、鼻をかむまでもなく、「たらしてなめる」という方法で簡単に済ませる傾向があるそうだ。

潮吹き≠鼻かみ

米ノースフロリダ大学の生物学者クインシー・A・ギブソン氏によると、クジラやイルカの噴気孔は鼻をかむための器官だと思われがちだが、実際は違うという。

クジラやイルカが潮を吹くときの噴出物は、空気と水と粘液だ。イルカが時々意図的に鼻をかむように力強く息を吐くこともあるが、それは鼻をかむというよりも、咳に近い。

研究者はこれを「chuffing」と呼び、「多くの場合、攻撃のしるしとして理解されます」とギブソン氏。

同じくノースフロリダ大学の生物学者、ジュリー・P・エイブリー氏は、「アシカとアザラシは、くしゃみをしたり鼻をかんだりするほか、“咳とともに痰を出す”ことも多く、主に肺の粘液からなる痰は“かなりの距離”を飛ぶことがあります」と述べている。

鼻をほじるゴリラ。コンゴにて。(PHOTOGRAPH BY SERGEY URYADNIKOV, ALAMY)

ほじる、くすぐる

人間は、鼻スプレーや鼻うがいなど、鼻の穴に何かを入れて鼻づまりを治すことがある。同じように、道具を使って鼻づまりを治そうとする動物も存在する。

タンザニアでは、2頭のチンパンジーが木の棒などで鼻を探っているところが目撃された。そのうち1頭のオスは、くしゃみを誘発し、鼻を通していた。

ブラジルのセラ・ダ・カピバラ国立公園では、ヒゲオマキザルのメスであるアカシアが、草の葉や木の棒を鼻プローブとして鼻をほじり、取れたものを確認してからなめているシーンが撮影された。アカシアは、木の棒を楊枝代わりにも使用していた。

先ごろ学術誌「Primates」に発表された論文によると、オマキザルのオスは木の棒を使って食べ物をあさったり、他の動物を威嚇したりすることが多いが、メスが棒を道具として使っているところが目撃されたのはこれが初めてである。

(文 Liz Langley、訳 堀込泰三、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年8月26日付]