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深海魚リュウグウノツカイがまた漂着、1年で5回

2015/6/21

ナショナルジオグラフィック日本版

2015年6月1日、サンタカタリナ島の海岸に流れ着いた長さ4.3メートルのリュウグウノツカイとカタリナ島自然保護組織のエイミー・カタラノ氏(PHOTOGRAPH BY TYLER DVORAK, CATALINA ISLAND CONSERVANCY)

 米国カリフォルニア州ロサンゼルスの約35キロ沖に浮かぶサンタカタリナ島の海岸にリュウグウノツカイの死骸が流れ着いた。この神秘的な姿をした深海魚が西海岸に打ち上げられたのはここ1年で実に5度目だ。

 カタリナ島自然保護組織(Catalina Island Conservancy)の生物学者タイラー・ドボラック氏が2015年6月1日、双眼鏡で北西部の海岸を監視していたときに発見した。「すぐにわかりました。昨年も1体、漂着しましたから」とドボラック氏は振り返る。

 「とても奇妙な姿でした」。ドボラック氏は海岸に横たわる死骸の写真を撮り、同僚がロサンゼルスの研究者に連絡した。現地に到着した研究者たちは長さ4.3メートルの死体の一部を持ち帰った。

 解剖を担当したペニントン海洋科学センターの所長デイビッド・チャン氏によれば、死骸には尾がなく、生前はもっと長かった可能性があるという。解剖後の死骸はカリフォルニア州立大学フラトン校やロサンゼルス自然史博物館で研究に使われる予定だ。

 『リュウグウノツカイの系統、生態、分布(Systematics, Biology, and Distribution of the Species of the Oceanic Oarfish Genus Regalecus)』(タイソン・ロバーツ著)によれば、尾のないリュウグウノツカイは珍しくないようだ。一部のトカゲが尾を切って捕食者から逃れるように、リュウグウノツカイも自己切断できるという。

■貴重な機会

 海中ではしばしば、頭を上にしている姿が目撃されるリュウグウノツカイ。地中海のリュウグウノツカイを題材にした映画のプロデューサー、ベルトラン・ロワイエ氏は2015年に入ってからのインタビューで、「美しく優雅で、本当に素晴らしい光景です」と語っている。「まるで海の妖精です」

 深海で暮らすリュウグウノツカイを研究するのは難しいため、どのような形であれ研究の機会を得られるのは喜ばしい。

 チャン氏はロサンゼルス自然史博物館から、リュウグウノツカイが発見されたその日のうちに頭、胃、生殖腺、臓器を回収するよう要請された。ほかの動物に食べられたり、腐敗したりするのを防ぐためだ。

打ち上げられたリュウグウノツカイの頭部(PHOTOGRAPH BY TYLER DVORAK, CATALINA ISLAND CONSERVANCY)

 チャン氏が回収して冷凍保存した部位は、翌日、研究者たちが取りに来た。チャン氏によれば、カリフォルニア州立大学フラトン校のチームは構造を調べるために頭部を持ち帰り、自然史博物館はDNAサンプルから種を特定したいと考えているという。

 現在、リュウグウノツカイにはRegalecus russelliiとR. glesneの2種がいるとされており、後者の方が冷たい水を好む。

 「(カリフォルニア州サンペドロの)カブリロ海洋水族館にエラの寄生虫を調べたがっている人もいます」とチャン氏は話す。さらに、カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校の研究チームは胃の寄生虫を調べる予定だ。

 残念ながら、チャン氏は残りの部位を回収できなかった。リュウグウノツカイは体が大きく、冷凍保存するスペースが足りなかったためだ。

 チャン氏が海岸に置いてきた残りの部位はカタリナ島の動物たちが喜んで食べたに違いない。

(文 Jane J. Lee、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年6月9日付]

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