紫外線対策に「効く」ビタミンCの取り方
日差しが強くなるにつれて、気になってくる紫外線。すでにUV対策を始めているかもしれませんが、体の中からのUV対策はしていますか。
紫外線を浴びると肌や体内で活性酸素が増えて、シミやソバカス、老化などの原因になります。活性酸素の除去には、ビタミンCやカロテノイドなどの抗酸化成分が豊富に含まれる、野菜や果物を積極的にとるのが効果的です。
もちろんそのまま食べてもよいのですが、「実はジュースにするのが賢い取り方」と、帝塚山大学現代生活学部食物栄養学科の稲熊隆博教授は話します。
「野菜や果物に含まれるビタミンCやカロテノイドなどの成分は植物の硬い細胞壁の中にあるが、ジュースにすると細胞壁が壊れて体内吸収率がよくなります。また、かさが減る分、量がたくさんとれます」(稲熊教授)。
ひとつ気をつけたいのは、ビタミンCが酸化しやすい点。すりおろしたリンゴやジューサーで作ったジュースを置いておくと変色することがありますが、「これは、ビタミンCが酸化している印。ビタミンCは空気に多く触れるほど酸化が進み、抗酸化作用を失ってしまいます」(稲熊教授)。
そこで最近、酸化を防ぎながらジュースが作れる低速ジューサーが注目を集めています。
従来の高速ジューサーは、刃が1分間に1万回以上回転することで食材を細かく切り刻みます。一方、低速ジューサーは食材を石臼のように圧しつぶしながら搾るため、高速ジューサーに比べて空気の混入が少なく、ビタミンCが酸化しにくいのです。低速ジューサーで作ったジュースは、「コールドプレスジュース」とも呼ばれ、スッキリとなめらかな飲み口が人気で専門店も増えつつあります。
レモンや酢、塩もビタミンCの酸化を防ぐ
ビタミンCの酸化を防ぐには、クエン酸を加えるという方法もあります。「通常の高速ジューサーで作るジュースでビタミンCの酸化を防ぐためには、材料にクエン酸が豊富なレモン汁を少し加えるといい」(稲熊教授)。酢や塩を少し加えても同様の効果を得られるとのこと。いずれも、味が変わらない程度の少量でOKです。1~2時間は酸化を防げるそうです。
「25歳前後が『お肌の曲がり角』といわれることがあるが、それはその頃から体内の抗酸化力が低下して肌細胞の老化が進むから。肌の衰えが気になる人は野菜や果物でたっぷり抗酸化成分を補いましょう」(稲熊教授)
抗酸化成分たっぷりの「UV対策ジュース」があれば、夏の日差しも怖くない。さっそく、始めてみませんか。
カロテノイドが豊富なニンジンやカボチャ、これからの季節に食べる機会が増えるキュウリには、「ビタミンCを酸化させる酵素が含まれるため、生のままジュースにするとほかの食材に含まれるビタミンCの酸化を促進してしまいます」(稲熊教授)。酵素は加熱するとその働きを失うので、ビタミンCの酸化を防ぐためには加熱してから加えましょう。
この人に聞きました
帝塚山大学現代生活学部食物栄養学科教授。同志社大学大学院工学研究科博士課程(前期)修了。農学博士。カゴメの総合研究所で基礎研究部長、主席研究員を経て現職。主な研究分野は野菜と果物の機能性研究と食品加工。
[nikkei WOMAN Online 2015年5月25日付の記事を再構成]
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