漠然とした不安に心がざわついたり、自分に自信が持てずに落ち込んだり…。そんな“心のモヤモヤ”に悩む女性は多い。
しかし、心理カウンセラーの宇佐美百合子さんは、「モヤモヤ、ウツウツ、イライラといったネガティブな感情には、自分の心を解放するための大事なSOSサインが隠されているんです」と、指摘する。
自分のネガティブさんに手紙を書く

「ですから、嫌な気持ちをむりやり封じ込めたり、歯向かって闘ったりするのは逆効果。“心のモヤモヤ”が発するメッセージを否定せずに受け止めることで、ネガティブな気持ちを自然に手放せるようになります」
そのためにはまず、自分を苦しめている“モヤモヤ”の正体に気づくことが大切。宇佐美さんがおすすめするのは、紙に書き出して自分の心と対話すること。「自分のネガティブな感情に親しみを込めて、手紙をつづってみると書きやすいですよ」
自分の心と対話をすることで本当の感情に気づいたら、次の“捨てるアクション”でリリースしよう。「ネガティブな感情が強い人は、実はエネルギーにあふれた人。今はマイナスに傾いているエネルギーを、自分を成長させる活力に変えると、持ち前の魅力が輝きだして、スッキリ前向きな気持ちで生きられますよ」
ここでは、心のモヤモヤを無理なく捨てるためのステップを紹介。ぜひ取り組んでみて。
1.嫌な感情にすぐフタをしない
2.嫌な感情と闘わず「受け止める」ことが大事
3.心のモヤモヤの陰に本当の気持ちが隠れている
ステップ1:ネガティブな感情をクリアにする
“心のモヤモヤ”が、どんなネガティブな感情から来ているのかに気づくために、紙に書き出そう。どんなとき、どんなふうに憂鬱な気持ちになるのか、夜のひとり時間を使って具体的に書いていく。「素直な気持ちで、自分の心と対話してみましょう」
「モヤモヤ君への手紙」を書いてみよう
嫌な気持ちには向き合いづらいもの。そこで例にならい自分のネガティブな感情に向けて手紙を書こう。「親しみを込めて“モヤモヤ君へ”と書き出すと気持ちを出しやすい」
1.タイトルは親近感のあるものにする
「ネガティブな感情=嫌なもの」と構えてしまうと向き合いにくい。親しくなるために、“モヤモヤ君”と親近感のあるタイトルに。
2.書き出しは相手への問いかけにする
親しい友人に相談するような気持ちで、「ねえ、聞いてくれる?」と問いかけて、自分の本音を打ち明けてみよう。
3.どんなときにその感情が湧くかを書く
いつどんなことがあって、ネガティブな感情が湧いたのか、その場面について書く。昔の出来事でも構わない。
4.そのときの気持ちを詳細に書く
そのときに、どんな気持ちを抱いていたのかを思い出してみる。ダラダラと書いているうちに出てくる“本心”が大切。
5.自分がどうしたいかを具体的に書く
思いを吐き出しているうちに、自分でも分からなかった気持ちに気づくはず。本当はどうしたいのかを書いていこう。
ステップ2:嫌な感情の正体を知る&捨てる
ステップ1で吐き出した“ネガティブな感情”が発するメッセージを受け取り、具体的に手放す行動につなげよう。「モヤモヤとした感情は1つではなく、複雑に絡み合っているもの。一番強いマイナスの感情から優先順位を付けて解消していきましょう」
「モヤモヤ君への手紙」を見ながら一番強い感情が何かを考える
「モヤモヤ君への手紙」を読み返して、自分のなかにわいた強いマイナスの感情や、連呼するキーワードをピックアップ。代表的な5つの感情「不安」「自信がない」「焦り」「ねたみ」「怒り」で、最も強く抱える感情は何か考える。例では「ねたみ」が強く出ている。
●感情の正体を知る
希望を忘れて、目の前のことしか見えていない状態。“もっと長い目で人生を見ようよ”“自分の可能性を信じて”というメッセージ。プロセスの大切さを意識しよう。
●捨てるアクション
「『ネガ→ポジ変換ノート』を作成しよう」
今の焦りを左側に書き、それに対して今できることと開ける未来像を右に書く。毎日、右側に書いたポジティブなほうだけ声に出して読み脳にインプット。次第にいい発想を選択するように。
●感情の正体を知る
起こるかどうか分からない未来の妄想にとらわれ、心あらずの抜け殻状態。“もったいないよ。今この瞬間をもっと大切に生きて”“今できることを十分にしている?”という自分からの警告。
●捨てるアクション
「『今できること』をノートに書いて即実行」
不安に心がとらわれたら「今できることは?」と自問し、ノートに書いてすぐ行動。心を今に戻し、目の前のことに没頭すれば不安の入り込む余地はなくなる。
「『また出たな』『あ~来た来た』とつぶやいてみる」
不安が押し寄せてきたら、「出たな」など、自分のなかで“今”に心を戻すためのセリフやキーワードをつぶやいて、切り替えのスイッチにする。
●感情の正体を知る
“人のことばかりが気になって、一番大切な自分という存在を置き去りにしているよ”というサイン。自分には自分の魅力や個性があるのに、それを忘れていたり、あるいは見ようとしていなかったりする。
●捨てるアクション
「『私もあやかろう』と10回唱える」
ねたみを放置するのは危険。「羨ましいな→いいな→私もあやかろう」をセットで10回言ってみる。自分に意識を向けることで行動につながる。
「自分のいいところを1つ書き出す」
“自分の魅力”に目を向けるために、いいところや好きなところをノートに書き出してみよう。どんな小さなことでもOK。他人に聞いてみるのも効果的。
●感情の正体を知る
どんなに頑張っても自分に自信が持てない…。それは、“他人に満足される自分”になろうとしているから。人の視線を基準に生きるのではなく、“そのままの自分を認めて”と、心がSOSを出している。
●捨てるアクション
「手元のノートに花丸を描く」
人に認められなくても、「私は私」と自分を認められれば、気持ちは満たされ、自信につながる。ノートのまっさらな紙に大きな花マルを描いて、自分を褒めて。
「『精いっぱいやれればよし』と自分に声掛けする」
目指すのは完璧ではなく、「今日の私の精いっぱい」。自分が自分を認められるようになるためには、今できるベストを尽くして納得することが大切。
●感情の正体を知る
正体の分からないイライラやモヤモヤを感じるときは大抵、根っこに怒りがくすぶっている。「自分はそんなことで怒ったりしない」などと否定せず、そんな自分も受け入れることで怒りは和らぐ。
●捨てるアクション
「ひとりカラオケ、海で大声を出す」
怒りは“心の排泄物”。ためずにデトックスすることが大事。思い切り大声を出して一気に心を換気するのがおすすめ。「今は換気中」と意識しながら行って。
「マラソンなど激しい運動をする」
息が上がるくらいの激しい運動をするのも効果あり。没頭してやることで、「どうでもいいや」と思える怒りもある。心のデトックスの手段にして。
この人に聞きました

心理カウンセラー。54年生まれ。CBCアナウンサーを経て海外で起業。帰国後、心理カウンセラーとして活躍。最新刊は『嫌な感情の愛し方』(サンクチュアリ出版)ほか。http://www.iii.ne.jp/usami/
(ライター 西尾英子)
[日経WOMAN2015年1月号の記事を基に再構成]