情熱か冷静な戦略か 受験戦線異状あり?
熱意を見せて
しぶしぶ、その写真を貼った願書を出す時もひともんちゃくあった。願書は志望校に持参しても郵送しても構わないという場合、多くの親は願書受付の初日の朝に学校まで提出しにいく。1番など早い受験番号をとろうと何時間も並ぶ人もいる。
我が家も初日の午前中に出そうと算段していたら、夫が「なぜ郵送にしないの?」という。「受験番号の順番や願書の提出方法は合否に全く関係ない。わざわざ行く意味はない」。寒い中、待たされて風邪を引き、子どもにうつったらどうするという。
それは分かっている。でも気合の入った写真で若い受験番号なら「貴校を熱望しています!」という意気込みが伝わりやしないか。子どもを応援したいせめてもの気持ちなのに、夫は「それより手洗いとうがいをさせたら?」。ハイハイ、ごもっともです。
僕は軍師
「このプランなら万全だ」。2月1日昼ごろ、私立中学の受験を終えたばかりの息子と合流して電車に乗り込む。午後に予定している別の中学受験に間に合わせるためだ。
最近の中学受験は東京都内などの場合、様々な中学で午前と午後にそれぞれ入試を実施する。合格をもぎとるまで繰り返し受験できるから、どの順番でどう受けるか緻密な作戦が必要だ。A校からB校までどう電車を乗り継ぐか、行程も含めてスケジュール管理が大切なので、我が家では日ごろ電車で出歩くことの多い僕の出番が多い。
息子の負担が大きくなりすぎないように準備に抜かりはない。午後受験する中学の最寄り駅に着いたらホテルにチェックインして好物の空揚げ弁当を食べる。ベッドで足の裏をもみ、午後の戦いに向けて体力と気力を回復させる。
1点でも多く勝ち取るためには親が「軍師」として理にかなった采配をふるうのが効果的な気がする。1月には多くの私立中学が説明会を開き、「この分野から出題されます」と重要情報を教えてくれることもあるので僕が聞いて回り、子どもに指南した。息子以上に熱くなっている自分をヘンだとも思うが、妻の受けは悪くないので、もう、どうにも止まらない。
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