2014/12/1

DUALプレミアム

子どもが自ら伸びる環境として塾を選ぶ

小川大介先生

こうしてみると、ひとくくりに大手塾といっても、カラーが全く違うことが分かります。今回は、お二人にやや辛口のコメントを頂きましたが、塾選びの参考にしてみてください。

では、そもそも塾は何を基準に選べばよいのでしょうか? 「うちは御三家狙いだからSAPIX」という選択は間違いとは言いません。でも、SAPIXに通えば全員が御三家に行けるというわけでも、もちろんありません。

小川先生は言います。「多くの親御さんは、大手塾に通わせていれば、わが子の成績が上がると思い込んでいます。けれども、塾は勉強のノウハウを教えるところであって、子どもの能力を伸ばすのは塾の役割ではありません。子どもが自ら伸びる環境として塾を選ぶべきなのです。そのためには、子どもがどんな性格であるかをしっかり見極める必要があります」

そして小川先生は続けます。

「時として親というのは、わが子の長所をしっかりと把握できていない場合が少なくありません。例えば、学習の理解に時間がかかる子は、スピーディーに問題を解くことは苦手ですが、じっくりコツコツ取り組むことができるという粘り強さがあります。逆に理解が速い子は、スピード能力や複数のことに目が向けられる器用さはありますが、ムラもあり、ミスも多いものです。また、一般的に中学受験は早熟な子に向いていると言われますが、マイペースな子が必ずしも受験に向かないというわけでもありません。お子さんが中学受験に向くか向かないかを判断する前に、子どもの性格を長所・短所の両面から客観的に見て、お子さんが『ここなら頑張れそう』と気持ちが乗ってくる塾を選ぶことが大切なのです」

「考えてもみてください。例えば、あなたが靴を買うとき、家のクローゼットにどんな服があるかを思い返して、それに合ったものを買いませんか? その日の夕飯の献立を考えるときも、まずは冷蔵庫の中身を見てから買い物へ行くはずです。それなのに、こと塾選びに関しては、わが子の性格を見ずに、ブランド名だけで塾を選ぶ親御さんが多い。だから、お子さんの性格と塾の方針にミスマッチが生じ、失敗してしまうケースが出てくるのです」

「塾選びを成功させる最大のポイントは、わが子の特性をできるだけ正確に把握することです。学習面で言えば、計算力、暗記力、集中力の持続、性格面で言えば、気が強いか否かといった点で、どんな塾と相性がいいかがおおまかに分かれてきます。例えば、SAPIXや日能研のように、テストの成績で生徒を競わせて鍛えようとする塾では、勝ち気で、自尊心の強いタイプが向いているでしょう。逆に慎重な子、真面目で言われたことをコツコツこなせる子は、四谷大塚や早稲田アカデミーに向いていると言えます

小川先生はこうも言います。

「見極めるのは性格だけではありません。中学受験は長期戦です。わが子が勉強に向き合える体力・気力がどれくらいあるかも親はよく観察し、欲目無しにわが子に合った塾を選びましょう」

共働きのわが家にとって、心強いパートナーとなる塾はどこ?

塾と子どものマッチングはとても大切なことです。けれども、「中学受験は親の受験」と言うように、親のサポート無しではうまくはいきません。共働きファミリーにとって、一番の悩みは、子どもと過ごす時間に制限があることだと思います。

「けれども、それも塾の選び方次第です」と、小川先生は言います。

「塾を選ぶときは、子どもの性格を考慮することに加え、自分の家が求めている役割を果たしてくれるのはどこの塾かという視点で選ぶことも重要です。例えば子どもと一緒に過ごす時間が少ないという家庭は、宿題チェックは親がやるのか、塾がやるのかで、親の負担は変わってきます。そういう場合は、宿題が比較的少ない塾を選ぶといいでしょう。宿題のチェック程度ならできるけれど、勉強を教える時間までは無いという家庭は、勉強のやり方をしっかり教えてくれる塾を選ぶようにしましょう。親ができないことをプロに頼むという考え方で、賢く塾を活用するのです。誰が何をするかという役割を明確にし、親と塾で子どもをサポートする。それが、中学受験の理想の形なのです」

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同じ塾でも教室によって当たり外れがある