女性活躍に本気を出すセブン、快進撃の源泉日経BPヒット総研所長 麓幸子

2014/10/23
エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。いまを象徴するキーワードから、話題の理由、面白いワケなど、「ひみつ」を明らかにします。今回のキーワードは【セブンの女性活躍改革】。2014年、女性が活躍する企業ランキングで小売業が躍進しています。セブン&アイ・ホールディングスを例に、躍進の要因を分析します。

今国会の焦点のひとつは「女性の活躍」だ。政府は、従業員が301人以上の大企業が女性の育成・登用に向けた行動計画をつくり、公表することを求める女性活躍推進法の成立を目指す。女性育成・登用は女性のために行うものではなく、企業の持続的成長のために行うべきもの。企業の実情にそぐわない計画や目標を立てても画餅に帰すだろう。

どのような女性活躍施策が企業の力を高めるのか。今回は、セブン&アイ・ホールディングスをひとつの事例として、女性活躍施策のベストプラクティスとは何かを考察したい。

100位圏外からベスト10にジャンプアップ

2014年4月に発表した「日経WOMAN女性が活躍する会社ベスト100」では、ベスト10内に、セブン&アイ・ホールディングス(7位)、イオン(9位)、高島屋(10位)と小売業が3社ランクインした。2013年はベスト10には小売業は1社も入っていなかったので女性活躍における小売業の存在感は高まっている。日経WOMAN企業の女性活用度調査(2014年)によると、小売業は女性社員比率38.3%と全社平均の26.7%より11.6%も高い、女性社員の多い業種である。それに比例するように女性管理職比率も15.9%と高く、平均8.0%の2倍の比率となっている。

そういう業種の特色はあるものの、2013年の同ランキングでは100位圏外だったセブン&アイ・ホールディングスの急上昇ぶりが突出している。これは、2013年までは事業会社ごとに回答していたものを、2014年はグループ6社を含む形で一括して回答したことが功を奏したようだ。ほかにも、同社は、2月に「エンパワーメント大賞」(日本生産性本部)受賞、10月6日発表された「人を活かす会社」(日本経済新聞社)でも前年より35位ランクアップして14位になるなど、躍進ぶりが目立つ。

強いリーダーシップとKPIの設定およびPDCAが重要

日経BP「ダイバーシティ&イノベーションフォーラム」に登壇する藤本圭子氏(撮影:鈴木愛子)

この躍進を実現させている要因は何であろうか。まずは間違いなく経営トップのコミットメントだろう。

セブン&アイグループで初めての女性役員が誕生したのは1993年(イトーヨーカ堂、セブン‐イレブン・ジャパン1人ずつ)。90年代より女性を積極的に役員や店長に登用してきたが、2006年決算発表説明会にて鈴木敏文会長が「今後は女性役員の割合を2割から2割5分にしていく」と発表、さらに2012年3月にグループ各社の幹部社員が一堂に会する「グループ経営方針説明会」では、グループ全社員に向けて女性の活躍推進を明言、同6月に「ダイバーシティ推進プロジェクト」を発足させ、取り組みを加速させている。

同グループダイバーシティ推進プロジェクトリーダーとして女性活躍推進を担っているのは、セブン-イレブン・ジャパン取締役執行役員秘書室長の藤本圭子氏だ。

「経営トップの鈴木が強いリーダーシップを持ち、グループ会社にまたは社外に向けて女性登用の重要性を発信してくれるのがありがたい。毎年、『(女性役員を)今年は何人を出すのか』とグループ会社に尋ねる。女性役員を登用するかどうかではなくて、登用がすでに前提でさらに人数を聞くわけです。グループ会社は育成・登用に注力せざるを得ません。女性登用の目標数値を設置するかどうかがひとつの争点になっていますが、目標数値のない事業などありえないでしょう。推進体制をつくり、課題を洗い出し、目標を設定し、施策の実施・改善をする。KPIを設定し、PDCAサイクルを回すことが女性活躍には重要です」と藤本氏。

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