岩盤規制に風穴、先導役は女性 生活者の目で

政府の成長戦略の目玉でもある規制改革。その先導役となる内閣府・規制改革会議の中核メンバーは5人の女性だ。各分野の最前線で働く立場に加え、妻、母親など生活者の視点から岩盤規制に風穴を開け始めた。
保育改革について討論する(左から)佐々木かをりさん、翁百合さん、稲田朋美さん、林いづみさん(7月、東京都港区)

7月中旬、都内お台場のホテルで開かれた「国際女性ビジネス会議」。各界の著名人が様々なテーマを話し合うなかでひときわ注目を集めたのが「保育を改革する!ための自由討論」だ。

ひな壇には規制改革相の稲田朋美さん(55)、エコノミストの翁百合さん(54)、弁護士の林いづみさん(55)、司会役のイー・ウーマン社長・佐々木かをりさん(55)が並んだ。ここに政策研究大学院大学教授の大田弘子さん(60)を加えた5人が、全体で15人いる規制改革会議の中心メンバーだ。

聴衆の大半は子育て中か、子育てを終えた働く女性。自由討論では「保育園の入園を春、秋の年2回に」「ベビーシッターにも公的支援を」といった意見が会場から次々出た。稲田さんは「きょう伺った意見は必ず規制改革会議に持ち帰り、提言する」と締めくくった。

規制改革会議の「健康・医療に関する分科会」の座長である翁さんは、日本総研副理事長の傍ら、日本郵船など3社の社外取締役を務め、早稲田大学大学院で教べんも執る。慶応義塾大学大学院を卒業後、日本銀行に就職。営業局、調査統計局で男性と同じように働き、結婚当初は京都支店に単身赴任もした。

日本総研に転職後出産。子育てしながら働き続けるため、職場のある千代田区に転居し、息子を0歳から小学校入学までの間、保育園に預けた。「働けたのは保育園と夫の協力があったため」。だから保育に関する改革に思い入れが強い。規制改革会議でも様々な規制と戦った。

例えば、保育園を開設するには屋外に避難用階段が必須という規制。大手生保などが自社保有ビルの一角を保育園に提供しようとしたが、外階段がなく認可が下りなかった。厚生労働省などと議論し、外階段に変わる安全な避難経路が確保できれば開設できるようになった。自治体が独自基準で開設を認める認可外保育施設にも、国の基準を満たし自治体が認定する認可保育園と同様に公的支援をすべきだという主張も通った。

一方、保育士試験を年2回にして、保育士を増やすという要望は実現していない。「受験者増の効果は一時的。年2回にするとコストもかかる」(厚労省)。保育士が足りない認可保育園で幼稚園教諭が働けるようにする提案も通らなかった。

規制改革会議委員の任期はあと1年半。「保育の充実に向けてあきらめない」と意気込む。自身は保育園が息子の成長に役だったと考えていた。高2になった息子と最近、こんな会話を交わした。「保育園、どうだった?」「うん、楽しかったよ」。満足したのは自分だけでなかったと、少し安堵した。

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「これって変」疑問大事に 稲田・規制改革担当相