――白Tシャツのコーディネートが、ありきたりな感じにならないようにするには、どう工夫すればいいですか?

「一つは、全体のバランスがいいシルエットを目指すことですね。それだけでこなれた着こなしに見えますから。おすすめは、トップスのシルエットと似た形状のボトムスを合わせるやり方です。例えば、Tシャツの身幅が広く、着丈が短い場合はストレートシルエットのワイドパンツを、Tシャツの身幅が狭く、着丈が長い場合はテーパードの効いたパンツを合わせるといった具合です。もう一つは、シャツを肩にかけたり、バッグやサングラスを手に持ったりと、小物をアクセントにするやり方ですね」

人とかぶらないベーシックコーデ デニムシャツで味付け

――今回は白Tシャツを使ったコーディネートを3組用意してもらいました。まずはミリタリーパンツとデニムシャツとの組み合わせです。

「日本発のスティルバイハンドの白Tシャツを選びました。袖が長く、着丈が短い、ユニークなシルエットの一着です。ボトムスは厚みのあるコットン生地と相性のいい、タフなミリタリーパンツを選びました。最も汎用性が高い、ベーシックな着こなしと言えるでしょう」

Tシャツ 1万2100円(スティルバイハンド)、パンツ 2万3100円(ア ボンタージ)、シューズ 3万8500円(リプロダクションオブファウンド)、シャツ 1万3200円(マニュアル アルファベット)

――肩に巻いたシャツも目を引きます。

「素材は白Tシャツと最も相性のいいデニムです。オーソドックスにデニムパンツをはくよりも肩に巻く方が意外性があり、こなれた印象も出ると思います。夏なのにマフラーのように首元に、というのも新鮮じゃないでしょうか」

――ボトムスはロールアップしています。

「トップスの丈がやや短いので、それに合わせてボトムスもすっきりとした丈感でそろえるようにしました。シューズのディテールをよく見せるという狙いもあります」

ボタンを見せるように巻いて、シャツの存在感を高めている
「革靴に合わせる靴下は清潔感のある白がおすすめ。ボトムスの裾を2折ほどロールアップして、さりげなく見せましょう」と遠山さん

――シルエットのバランスをとっているのですね。シューズのブランドは?

「ヴィンテージの軍用シューズを高い技術で再現している、リプロダクションオブファウンドの一足です。こちらはイタリアの海軍が着用していたデッキシューズがベースです。一見すると黒い革靴のようですが、側面にあしらわれたひもにデッキシューズらしさが感じられますね」

上下を縦長シルエットで統一 小物使いで個性

――2組目はテーパードのかかったボトムスと組み合わせたコーディネートです。Tシャツはどういうものですか。

「ベターという日本のブランドが手がけたTシャツです。生地は光沢感が強すぎず、透けにくい適度な厚さが特徴です。シルエットは適度な細身なので、1枚で着やすく、インナーにもしやすい。どの時代でも違和感のない、ベーシックを極めた一着だと思います」

Tシャツ 7480円(ベター)、パンツ 2万680円(バーンストーマー)、シューズ 2万9480円(リプロダクションオブファウンド)、バッグ 3万2780円(リレイションズ デ ボヤージュ)、メガネ 6万500円(マウトリーコンテーラー)

――パンツ選びのポイントは?

「トップスがやや縦長の形状なので、ボトムスもそれに合わせて、すっきりしたシルエットのものを選びました」

――格子状に縫い目が入った生地もユニークです。

「引き裂き強度の高い『リップストップ生地』です。これ自体はミリタリーウエアによく見られますが、インディゴ染めを施しているのが新鮮ですね。デニムパンツに格子柄が入ったようなイメージでしょうか。スニーカーから革靴まで相性がいいので、たいていの方はこれを着るだけでおしゃれに見えると思います」

日本発のバーンストーマーのパンツはすっきりとした細身のシルエットが特徴。遠山さんは「誰がはいても足がきれいに見える」という
生地はヨットの帆をリサイクルしたもの。水や汚れに強く、キャンバス生地のトートバッグより気兼ねなく使える

――今回はレザー素材のスニーカーを合わせています。

「先ほどと同じ、リプロダクションオブファウンドの一足です。主にドイツ軍がトレーニングで着用していた『ジャーマントレーナー』というスニーカーのデザインに着想を得ています。アウトソールは登山靴に用いられるコンバットソールになっているなど、ブランド独自のアレンジも効いています。すっきりしたシルエットなので、ボトムスとの相性もいいですよ」

――サングラスやバッグなど、小物も多く取り入れています。

「白Tシャツとボトムスだけだとやや物足りない感じがしますよね。サングラスのレンズは調光仕様になっているので、紫外線を浴びると色づきます。屋内や夜は、だて眼鏡に近い見え方になるので、違和感なく一日中かけていられますよ」

調光レンズは屋内(左)では透明だが、屋外ではサングラスのようになる

――バッグはどういうものですか。

「リレイションズ デ ボヤージュというイタリアのブランドのトートバッグです。いたるところにステッチが施されていますが、これは商品一点ごとにそれぞれ異なるんです。現地のデザイナーが“気分”でデザインしているところも陽気なイタリアらしく、夏のコーディネートにぴったりだと思います」

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スエット風Tシャツ×タオル生地パンツ 素材感に「一癖」