糖質をぐっと抑えた神宮前 らかん・果の「抹茶 黒胡麻-黒胡麻アイス-」

コク出すために隠し味に知恵絞る

甘くて冷たいかき氷はたまらないが、糖質やカロリーが気になるという人もいるだろう。そんな人向けに「低糖質」を掲げたかき氷を提供するのが、カフェ&ダイニングの「神宮前 らかん・果」(東京・渋谷)だ。砂糖は一切使わず、中国・桂林地方で生育するウリ科の果実、羅漢果(らかんか)をもとにしたカロリーゼロの自然派甘味料ラカントを使い、低糖質になるよう工夫を凝らす。

今シーズンのラインアップは「抹茶 黒胡麻(ゴマ)-黒胡麻アイス-」と「マンゴー-ドラゴンフルーツ-」、「木苺(キイチゴ)-木苺アイス-」の3種類(いずれも900円)。

どれも糖質を10グラム以下に抑えており、中でも一番の低糖質が「抹茶 黒胡麻-黒胡麻アイス-」で何と1.8グラムと驚くほどの数字だ。

福岡・八女産の抹茶をもとにほろ苦い抹茶シロップに仕立て、香ばしい黒胡麻ソースとアイスクリームをかき氷と合わせ、最後にきな粉をふりかけて、目の前に運ばれてくる。口にすると、確かに甘さは控えめなのが分かるが、これはこれでおいしい。

同店ではかき氷のほか、ランチタイムに野菜中心のおばんざいやディナータイムに糖質を40グラム以下に抑えた「ロカボコース」などが楽しめる。店のコンセプトから、女性客が目立つものの、今回取材中に一人で来店し、「抹茶 黒胡麻-黒胡麻アイス-」を味わう男性を目撃した。

あえて低糖質に仕上げるための、作り手側の苦労もある。「糖分が少ないと、どうしてもおいしさを表現する上で、制約が伴う」と北山和美料理長。シロップをもう一杯かければ、確実に甘みは増すが、そうすると「糖質10グラム以下という目標値」を軽くオーバーしてしまう。だから「黒胡麻アイスにはしょうゆを、黒胡麻ソースには黒酢を隠し味に、コクのある甘さになるよう工夫している」と明かす。

かき氷は近年、ブームだ。氷そのものにもこだわり、「天然氷」を用いたものが、話題を呼んだのをご記憶の方もいるだろう。かき氷の愛好者を「カキゴオリスト」や「ゴーラー」と称する動きもあるらしい。作り手側のこだわりやワザ、さらにはかき氷の奥深さといったことに思いをはせて、味わうとより一層、おいしさが身にしみるはずだ。

(堀威彦)

※価格はいずれも税込み