ノンアル市場にもレモンサワーブーム 日経POS情報
全国小売店の販売データを集計する日経POS情報で、2021年5月の来店客千人当たり販売金額の前年同月比増減率を調査した。食品カテゴリーの増加率ランキング1位は「麦茶飲料」。6位の「アルコールテイスト飲料類」は夏場にピークを迎える商品ジャンルだが、20年8月の販売金額に迫る伸びを見せている。
日経POS情報の食品カテゴリー(大分類)における2021年5月の来店客千人当たり販売金額前年同月比は、緊急事態宣言下で売れ筋商品が激変した20年5月との比較になるため、大きく変動した。特に20年5月に売り上げを大きく伸ばした商品ジャンルで反動減が見られる。
前年同月比の増減率ワースト3は、1位「ケーキ・パン材料」(33.7%減)、2位「スピリッツ」(33.6%減)、3位「生クリーム」(33.0%減)。この3ジャンルは、20年5月の増加率トップ3と同じ顔触れだ。20年5月は1位「スピリッツ」(199.7%増)、2位「生クリーム」(137.1%増)、3位「ケーキ・パン材料」(128.6%増)だった。もっとも反動減といっても、20年5月の増加幅が大きいため、2年前の19年5月と比べると、ケーキ・パン材料は51.6%増、スピリッツは99.0%増、生クリームは58.9%増と伸びており、依然として好調ともいえる。
そんな21年5月のランキングで伸び率上位に躍り出たトップ3は、1位「麦茶飲料」(37.7%増)、2位「ココア・チョコレート飲料」(30.5%増)、3位「ベビー・マタニティーフード」(18.3%増)となった。
麦茶は10年以降継続的に販売金額が伸び続けていたが、20年はコロナ禍で一服していた。それが再び上昇に転じている。粉ミルクや離乳食などが属する「ベビー・マタニティーフード」も、20年春は巣ごもり状態で自炊が増えたことから購入が減少していたが、現在は回復に向かっている。
コロナ禍の影響をあまり受けずに販売金額を伸ばしているのが、2位のココア・チョコレート飲料。そしてコロナ禍を追い風に伸びているのが6位の「アルコールテイスト飲料類」だ。前者は明治のミルクプロテイン飲料「ザバス」の人気が続いている。後者はビール大手各社が続々と新商品を投入して市場が伸びているジャンルだ。
アルコールテイスト飲料、人気の銘柄は?
アルコールテイスト飲料類の過去2年の来店客千人当たり販売金額の推移をグラフ化したのが上図だ。ビールと同様、夏場に売り上げが伸びる季節性のある商品だが、21年5月は4447.5円と、20年8月の4654.7円に迫る水準。19年8月の4055.6円を既に上回っている。ではどの銘柄が人気なのか。
21年5月の千人当たり販売金額トップは「アサヒ ドライゼロ」(1007.8円)。スーパードライと同じシルバーを基調としたデザインでビールらしさを訴求し、「テレワークの合間の息抜き」や「まだやることがある夕食時」「翌朝が早い夜の晩酌」などの飲用シーンを提案している。
2位、3位にはサントリーの「オールフリー」「からだを想うオールフリー」がランクイン。後者は内臓脂肪を減らす機能をうたった機能性表示食品だ。同様の商品として、キリンが機能性表示食品「カラダフリー」、アサヒが特定保健用食品「ヘルシースタイル」を販売している。
アルコールテイスト飲料類の売り上げの多くはビールテイスト飲料が占めるが、サントリーはノンアルコールチューハイでも「のんある気分」「のんある晩酌 レモンサワー」の2本立てで存在感を示す。21年3月発売ののんある晩酌は、アルコールのレモンサワー人気をノンアル市場にも持ち込んで売り上げを伸ばした。ノンアル市場は、ドライ人気のアサヒと豊富な商品ラインアップのサントリーがリードしている格好だ。
(日経クロストレンド 小林直樹)
[日経クロストレンド 2021年6月10日の記事を再構成]
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