答えと解説

正解は、(2)水分は減らさないほうがいい です。

健康診断などで腎機能の低下を指摘され、腎臓の負担を減らしたいと思ったとき、水分のとり方に迷う人は多いのではないでしょうか。

「患者さんからも、水分摂取に関する質問はよく受けます。腎臓の負担を減らすために、水分を控えたほうがいいのでは、と考える人が多いのですが、水分をとらないと、逆に腎臓に負担がかかるので注意してください」。腎臓の病気のスペシャリストである、横浜市立市民病院腎臓内科長の岩崎滋樹医師はそう話します。

腎臓は1日約150リットルもの血液をろ過し、それをさらに100倍に濃縮して約1.5リットルの尿を生成しています。しかし、腎機能が下がると尿を濃縮する力が落ち、濃い尿を作ることが困難になります。同じ量の老廃物を処理するには、代わりに薄い尿をたくさん出すしかなくなります(図1)。

図1 腎機能と尿の量・濃さの関係のイメージ

「尿をたくさん作るには、当然たくさんの水が必要です。水分摂取が腎臓の負担になる、水は飲まないほうがいい、と誤解する人が本当に多いのですが、まったく逆です。腎臓にとっては、水を飲んだほうが毒素を外に出しやすくなります」(岩崎医師)

夜間頻尿が気になる人は、塩分を減らそう

水分をしっかりとると夜中のトイレ回数が増えてしまうのではないか、と心配する人もいるでしょう。ですが、「夜間に腎臓がしっかり働くためには、体の中に十分な水分があることが大切です」と岩崎医師は話します。これはどういうことなのでしょうか。岩崎医師は次のように解説します。

「活動量の多い昼間は、腎臓は血液を他の臓器と奪い合って老廃物を処理しています。一方、活動量が少なくなる夜は、多くの血液を腎臓で使うことができます。腎臓が弱ると、昼間に限られた量の血液から尿を作るのが難しくなり、その分が夜に持ち越されるので、夜間の尿が増えるようになります」(岩崎医師)

腎機能が落ちれば、夜間の尿量が増えるのはもっともなことなのです。もしそこで水分摂取を控えてしまうと、腎臓が老廃物を排出しきれなくなったり、夜中に脱水に陥ったりすることもあり得ます。腎機能が落ちてきた人は特に、水分をセーブしないできちんととるようにしましょう。ただし、体重が増えないように、すなわち浮腫が出ない範囲にとどめておくことが大切です。

「夜間頻尿が気になる人は、水分ではなく、塩分を控えてみてください。夜間頻尿の原因は、水分より、塩分のとり過ぎであることが多いんです」と岩崎医師。

塩分には水を引っ張ってくる性質(保水作用)があるため、体内の塩分量が増えると、水が細胞の中にたまりやすくなります。これがむくみの正体です。体にたまった水分は夜になって処理されるため、塩分摂取が多いと、夜中の尿量が増えてしまうのです。

「減塩すれば、体に水分をため込む力が弱くなるので、夜中の尿量の減少につながります。夜間頻尿には水の飲み過ぎも影響しますが、一番の原因は塩分のとり過ぎです。夜中にトイレに行く回数が多い人は、塩分を抑えましょう」と岩崎医師はアドバイスしています。

この記事は、 「腎臓を長持ちさせる『たんぱく質』『水分』『塩分』のとり方」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/20/110600038/111600003/(田中美香=医療ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年5月24日付記事を再構成]

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