――エヌビディアは最近CPUへの参入を表明しました。狙いはなんでしょうか。

「エヌビディアはCPU回路を手がける英アーム社を買収しようとしています。CPUはあらゆるデータ処理に必要です。エヌビディアが得意とするGPUをCPUと組み合わせることで、事業分野を拡大することができます。現在は大半がインテルのCPUを使っているデータセンターのサーバーなどの攻略も考えられます」

――インテルは最近発表したデータセンター向けCPUでは、AI計算の性能向上を強調しています。CPUの側からでもAI計算に対応しようということですか。

「CPUの側も、AI計算向けの命令セットなど新しい設計を追加すれば、GPUほどではないにしろAI計算を高速化できるので、そうしたアプローチは当然試みています。またインテルもAIチップの設計を手がける新興企業を買収するなどして、専用プロセッサーの技術も手に入れていると聞いています」

――日本のスーパーコンピューター「富岳」は新開発のCPUを使い、AI関連の計算でも極めて高い性能を実現しました。

「富岳もインテルのアプローチと似たようなところがあり、新開発のCPUにはAI向けの命令セットを入れて性能を上げています。富岳は数値シミュレーションのような科学技術計算分野で世界トップであり、最近注目されている科学技術計算とAIアルゴリズムを組み合わせた処理も、富岳が得意とする分野でしょう。日本は富岳の技術をさらに磨いていくべきだと思います」

――半導体業界での日本の地位低下が指摘されていますが、専用プロセッサーの分野で日本は巻き返しがはかれますか。

「GAFAなどによるクラウドを使ったAI関連のサービスで、日本は出遅れてしまいました。GAFAなどは主にデータセンターで使う、AIチップを開発しています。同じAIチップでもこうしたデータセンター用ではなく、自動車やロボットに搭載したり、ファクトリーオートメーションで使ったりといったデータ処理の末端部分(エッジ)を担う半導体チップでは、日本に大きなチャンスがあると思います」

「我々が運営しているAIチップ設計拠点は、AIチップをはじめとする専用チップを開発する中小企業や新興企業の活動を支援するのが目的です。海外でも新興企業らによるAIチップの開発が活発ですが、この分野はCPUの技術的な行き詰まりとは対照的に急成長が予想されます。この波に乗ることが日本の半導体復活の最後のチャンスになると考えています」

(編集委員 吉川和輝)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら