「9月はまだ真夏」「残暑厳しい10月」も反映

これまでの平年値と新しい平年値を比べてみると、年平均気温では、北日本と西日本で+0.3℃、 東日本で+0.4℃、沖縄・奄美で+0.2℃となっています。月ごとに見ると、3月・7月・10月の上昇具合が高い傾向です。

3月は熊谷・水戸・東京で+0.7℃、7月は青森・仙台・福島・前橋・熊谷・水戸・東京で+0.7℃、10月は富山・宇都宮・前橋・熊谷・水戸・岐阜・甲府・松江・京都・彦根・奈良・宮崎・高松・高知など多くの地点で+0.6℃で、前回の更新時より差が広がった地点が増えています。

主な地点の新旧平年値の差(℃)(出典/気象庁)

10年前の更新では9月の上昇具合が高く、「9月ももはや真夏」と解説したのですが、今回は3月や10月の気温が高くなった……となると、「冬から一気に春本番」「残暑がさらに長引く」と解釈できます。暖冬傾向に加え、「春と秋が短くて夏が長い?」という近年の実感に近い平年値になってきているようです。

+0.7℃や+0.6℃など、1℃に満たない温度差でも、「平年並み」か「平年より高い・かなり高い」の階級にとっては大きな差です。昨年まで「平年より高い」とされていた気温が「平年並み」になってしまうと、暑さへの注意喚起が弱まってしまう懸念があります。

2011年の更新で、2000年以降10年分の暑さが反映され、それまでの「平年より高い」が「平年並み」になりましたが、今回はもう一段階高くなっています。今のところ、「年平均気温歴代トップ3」の2016年・2019年・2020年が今回の更新に反映されました。

日本の年平均気温偏差の変化(都市化の影響が比較的少ない15地点の平均気温)今回の平年値で1980年代が切り捨てられ、2010年代が加わった(提供/気象庁)

これによって平年値自体が底上げされ、「平年よりかなり気温が高いので注意してください」ということが少なくなります。また、「平年並みなら大したことないか」などととらえてしまい、暑さ対策を万全にせず体調を崩す恐れがあります。

今年の「平年並み」は昨夏だったら「平年より暑い」、2000年の夏だったら「平年よりかなり暑い」に匹敵するかもしれない、とご用心ください。

真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数の新平年値は、東日本から沖縄・奄美の多くの地点で3日以上増加、猛暑日(日最高気温35℃以上)は4日以上増える地点もあり、以前は珍しかった猛暑日の頻度も増えています。

日本の歴代最高気温ランキング。40度台も増えてきている。今回の平年値に加わった2011年~2020年の記録が多い(出典/気象庁)

気温が高いと、空気中に含まれる水蒸気も多くなります。水蒸気は目には見えない雲のモトです。つまり「いざとなると一気に雷雲がわいて、急な大雨になる」というポテンシャルが高くなるのです。

実際、今回の更新による降水量は、夏の西日本や秋冬の太平洋側の多くの地点で前回より10%程度多くなっています。近年の大雨のデータが反映された結果です。

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