デジタル化でビジネスモデル一変 備えたい基礎知識は『ビジュアル ビジネスモデルがわかる』

デジタル化が進みビジネスモデルのパラダイムシフトが起きている
デジタル化が進みビジネスモデルのパラダイムシフトが起きている

顧客同士を仲介して結びつけるプラットフォーム、定額制でモノやサービスを届けるサブスクリプション、基本機能を無料にし有料の拡張版で顧客を獲得するフリーミアム、個人や企業の保有物を第3者に貸し出すシェアリング……。デジタル化を追い風にしたサービスが続々と生まれている。事業者が顧客にモノやサービスを一方向で提供する伝統的なモデルに対し、新モデルは事業者がデジタル技術を駆使し既存の枠にとらわれない発想でビジネスを動かす。利用者同士がネットでつながり自由に売買してビジネスの一翼を担うのも従来モデルにない特徴だ。

本書『ビジュアル ビジネスモデルがわかる』は、急速に進むデジタル化が社会・経済にどんな影響を与えるか、企業のビジネスモデルはどう変わるのかにスポットを当てて解説している。キーワードや事例など関連する93のテーマを選定。各テーマとも共通して図表と500字前後の短い本文が見開きで収まっている。関心のあるテーマだけ読んでもいいし、通読して全体の流れがつかめるようにテーマ配列が工夫されている。初学者ならまず手に取りたい一冊だ。

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著者の井上達彦氏

著者の井上達彦氏は早稲田大学商学学術院教授。1968年兵庫県の生まれで、1992年に横浜国立大学経営学部を卒業後、1997年に神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)を取得しました。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授などを経て、2008年から現職。『模倣の経営学』『ブラックスワンの経営学』(以上、日経BP)、『ゼロからつくるビジネスモデル』(東洋経済新報社)などの著書があります。

ビジネスモデルは顧客に価値を届けて収益を上げる

本書の構成は大きく2つに分かれます。一つはビジネスモデルのつくり方と、その基本的な考え方。もう一つはデジタル化が加速する中で、どのようなビジネスモデルへとシフトしていくのかという2点です。

ビジネスモデルというと、何やら難しく聞こえるかもしれません。企業が稼ぎ、もうける仕組みを真っ先に思い浮かべる人もいるかもしれません。もうけるためには「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源を活用して効率よく事業を運ぶことを考えるのではないでしょうか。しかし、それでは十分でないと著者はいいます。収益を上げることだけではなく、顧客が求める価値にこたえることが重要だと。もっとも、顧客が求める価値は顧客が誰かにもよるし、社会や経済状況によっても変わってきます。それを的確にとらえて事業モデルを組み立てるのは確かにそう簡単なことではありません。

ビジネスモデルづくりにおいては、目先の稼ぎ方ばかりでなく、価値創造全体を考えなければなりません。「誰に、どのような価値を、どのように届けるか」にまで視野を広げて、「利益獲得の方法」を設計しなければならないのです。
(第1章 ビジネスモデルのパラダイムシフト 22ページ)

顧客が求める価値をとらえ、自社のビジネスに生かし収益を上げるにはどうすべきか。それこそが著者のいうビジネスモデルのつくり方になります。

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