こだわったのは、家庭で使いやすいサイズ

美術館などで使われている照明機器を、そのままスケールダウンして家庭に持ち込んだかのようなこの製品は、レールとスポットライトで構成。スタンドタイプと壁付けタイプとがあり、どちらも6種類のラインアップを用意している。スポットライトを1ワットか3ワットから、その数を最大3灯までから選べる。

筆者は3ワット×3灯のスタンドタイプを使っていて、上1灯で左に置いたキーボードを、下2灯で右に置いたメインのキーボードを照らすように設定している。スポットライト式なので、光源が目に入らず、キーボードやその周囲の机上だけを照らしてくれる。使うスポットライトや光量はスマホのアプリから設定でき、5つまで記憶させて、使用シーンごとに呼び出すことが可能だ。

アプリで、それぞれのスポットライトの明るさをコントロールする
この画面で、3つのスポットライトそれぞれの明るさをセットにして登録する

「もともと、美術館向けを家庭で使えないかというところから企画を進めたので、最初はレールを壁や天井に取り付けて使うことを想定していました」と上野氏。ただ、それでは工事が必要になり、使用方法も限られる。そこで立てて使うことに思い至ったという。

レールをどうやって立てるかを思いつくのには苦労した。「手軽に使っていただけるように、レールをそのまま立てようとしたので、台座が大きくて重いものになってしまって、これでは駄目だと思いました」と上野氏は振り返る。

そして、レールの後ろにもう1つ支柱を立てるという現在のスタイルにたどり着く。「これなら立てても寝かせても使え、コンパクトで工事も不要。大きくなるのは嫌でした」(上野氏)

パッケージ(全機種共通)もスタイリッシュでコンパクトなので、ギフトにも向く
試作品はスタンド部分が大きかった。一番右の製品版と比べると、その大きさが分かる。レールが長いフロアスタンド型にする計画もあった

読書灯、花を演出する間接照明…汎用性に秀でる

確かに使っていると、様々なシチュエーションで便利であることに気がつく。ベッドサイドでは、スポットライトを絞って光を細く出すようにすれば、隣で寝ている人の睡眠を妨げずに本を読める。棚の後ろに寝かせて使えば、間接照明になって前に置いた花や置物がとても色鮮やかに見える。

寝かせて、棚の後ろから壁面を照らすことで、このように間接照明としても使える。前に置いた花の色がとてもきれいだ

筆者のようにデスクライトとして使うのもよい。上野氏も「色がはっきり出るので、コントラストが上がって輪郭が明確になります。文字が見やすくなっても不思議ではありません」と話す。

ライト先端のレンズ性能は高く、照射範囲を広げても、むら無く照らしてくれる。それもモノの見やすさにつながっている。「今までに無かった光を家庭にお届けできたと考えています」と上野氏。あくまでも光が主役になるようにデザインされたシンプルな形も良い。

こうした利点も含めて、性能に対する価格はかなり安いという印象だ。Ra値が高い照明がもたらすメリットを広く認知させることができれば、大ヒットもあり得る。使ってみればすぐに分かる高品質な光を、手元に置いてみてはどうだろうか。

京都市京セラ美術館の企画展示「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」で導入されたサリオ。こちらは配光角度、スポットライトの方向もアプリから操作可能(撮影/今 祥雄)
ミネベアミツミの照明製品等新商品企画室室長、上野毅氏

(ライター 納富廉邦)

[日経クロストレンド 2021年4月20日の記事を再構成]

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