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ドラマでは、安達と黒沢の心の機微が丁寧に描かれた。最初は黒沢の恋心に困惑していた安達だが、徐々に心の距離が縮まっていく。町田との共演はどのようなものだったか。

(写真:橋本勝美)

「町田君はすごく親切で、優しい人で。世間話から始まり、早い段階で親しくなれました。シーン自体は物語の時系列ではなく、前後バラバラに撮っていたので、役が親密になるにつれて近づいていく、というわけにはいかなかったんですね。

なので、シーンごとに2人にどんな物語があったのか、ここでうれしい出来事があって、ここで悲しくなる瞬間があって、じゃあ2人の距離感はこんな感じだね、みたいなことをお互いに話し合いながら挑んでいった感じです。前後バラバラで撮ったとしても、黒沢の優しさとか喜びに触れた積み重ねによって、最終話の安達は出来ていくと思っていたので、いかに役を通して感じたままに演じるかを大事にしました」

恥ずかしさや照れは次第に薄れて

「撮影の初期は、照れ臭さは……まぁ、多少はありましたね。笑顔でガッツリ黒沢が向き合ってこようとする感じは、僕も安達とリンクして、気恥ずかしいというか『ええっ!』ってなるような瞬間はありました。

でも後半になるにつれ、その恥ずかしさみたいなのがなくなっていって。10話にある遊園地でデートするシーンでは、クレープを食べる場面を撮った後、町田君と普通に一緒に食べながら、『おいしいね、あはは』って全然違和感なく。今思えば、それはちょっと恥ずかしかったかも(笑)。

撮影が終わってしばらくたつんですけど、大体のシーンは記憶に残ってます。どれも印象的すぎて。3話のおでこのキスシーンでは、すごい近い距離感で、僕、ここ(肩)ガッチリつかまれて。そんなこと人生でされたことがないので、やっぱり衝撃的でした。

壁ドンとか、お姫様だっことかも。初めての経験をたくさんさせてもらったので、特にというのは選べないんですが、最終回のクライマックスのシーンは、完全にスイッチが入りました。本当にもう、町田君の顔を見るだけで涙が出てくる、ぐらいの状態でのプロポーズは、安達としてめちゃくちゃうれしかったです。

そうそう、町田君は人にカメラを向けるのがうまくて。何度かスマホで安達を撮るシーンがありましたが、アドリブでもやっているんですよ。『あれっ、いつの間に撮ってたの?』っていう。気づかないうちにもう構えてる。すごいなーって(笑)。

町田君からは、役者の先輩として学ぶ部分も大きかったです。積極的に意見を伝えている姿を見て勉強になりましたし、意思を貫くカッコいい役者だと思いました」