役作りのために「裏アカ」を作成
公開中の主演映画は、新人クリエイターの登竜門「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015」で準グランプリに輝いた企画を映画化した『裏アカ』。木村大作、原田眞人といった名監督たちを助監督として支えた加藤卓哉監督の長編デビュー作となる。瀧内さんは、SNS(交流サイト)に匿名の裏アカウントを作って人生が激変していくアパレルショップ店長・伊藤真知子を演じている。
「SNSを題材にした、今の時代を切り取った映画です。私自身は普段SNSをあまり活用していないので、真知子とは程遠い生活なのですが、だからこそやりがいがあるかもって思いまして。あと、これからの新しい作家の方とお仕事をしてみたいと思っていたんです。今まで私がお世話になってきたのは、廣木隆一監督や荒井晴彦監督といった、映画界で名をはせた方々でした。作品のなかでは闘ってきましたけど、甘えてきた部分も大いにあると思うので、新しい才能と一緒に試行錯誤しながら作品を生み出してみたいと思っていたんです。
撮影は、大変でした。監督がこちらの意見を聞いてくださるからこそ、『このままでいいのかな?』と思う瞬間が何回もあって……。いつも、そういう葛藤の積み重ねなんですけどね。でも今回は自分でハッキリと決めなきゃいけない瞬間が多々あったので、よりしっかり考えて臨まないといけない。私にとっては、そこが大変でした」

役作りとして行ったのは、ショップ店員への取材やパーティーへの参加。また、SNSについても“体験”した。
「私はSNSとかけ離れた生活をしていて、ツイッターもインスタグラムもやっていないんです。だからまずアカウントを作って、『みんな、どんなことを書いてるんだろう?』と投稿記事やコメントを見たり、『裏アカって、本当にあるのかな』と調べたりしました。そのアカウントですか? オフィシャルでやったわけではないので……それこそ“裏アカ”です(笑)。これが不思議で、何の投稿もしなくても、フォローする人がいるんですよ。おかしいと思いません?『何を見て?』と思う。それで私は、怖くなりました。
この作品を経験して思ったのは、SNSはやっぱり難しい存在だということ。私は価値があるようで、ないものだと思ってるんです。だけど今はフォロワーの数などで自分の価値まで測られてしまうこともある。でも、それは虚像というか、自分であって、自分じゃないところがある……。そんななかで評価されながら生きるのは大変だろうなと思いました」

