重鎮・藤森二郎氏の思いを昇華させた藤森もも子氏の「ふじ森」

2店目は東急東横線・都立大学駅近くにある「ふじ森」だ。1990年代後半、当時珍しかったフランス菓子のカヌレや、最高級発酵バター「Echire(エシレ)」を日本に広めたことで知られるベーカリー界の重鎮である藤森二郎シェフの次女、藤森もも子さんが営むパン専門店だ。

目を引くのはもも子さんが考案した本数限定の超高級食パン「ふじ森」(3000円)。通常、食パンの油脂分は生地の1~2パーセントだが、これは10パーセントまで上げたリッチな食パンで、しかもその油脂分は丸々エシレバター。芳醇(ほうじゅん)でぜいたくな香りが立ちのぼり、ちぎってほお張るだけで豊かな気持ちになる。

「ふじ森」の発酵バター「エシレ」をぜいたくに使った3000円の最高級食パン

そしてこれに続く「プレミアムソフト」(1500円)が水にこだわった食パンで、これも「ふじ森」に負けず、全国から注文が来る主力商品だという。吸水力の高い小麦粉を使い、加水率100パーセントの生地でもっちり。優しい甘みがあって口溶けがよく、生でもトーストでも抜群においしい。

「幼少期に父から『日本人は唾液の量が欧米人より少なく、そしゃく力も弱いので水分量が高いものが好まれる』と教えられ、それを意識した商品作りをしています。実際、生食パンやとろとろのプリンなど、食でヒットしているのはそうした口当たりのもの。水分をしっかり含ませたパンは、口の中がパサパサしない上、砂糖やハチミツを使わなくても自然な甘味が出ます」(もも子さん)

ちなみに同店も冒頭の「ジュウニブンベーカリー」も、水分量にはこだわるが、使う水は意外にも「東京の水道水(をろ過したもの)」だという。「水そのもの」にこだわった高級パンはあるのだろうか? それが次に紹介する2店である。

「水にこだわる高級食パン」が大ヒットの「銀座 に志かわ」

まず「銀座 に志かわ」だ。筆で大きく書かれたのれんは、目にしたこともあるのではないか。2018年創業の若手企業ながら、急速に拡大し北海道から沖縄まで97店舗(3月31日時点)を展開する全国チェーンだ。そして商品は究極に特化し、「水にこだわる高級食パン」(864円)1点のみ。

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