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行列食パン店仕掛け人 奇抜な店名で引き立つ本物の味

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NIKKEI STYLE

今、「高級食パン専門店」が全国に増えている。素材と製法にとことんこだわった高級食パンだけを売る業態で、1斤400円前後かそれ以上の価格で販売して消費者の人気を集めている。東京周辺で話題の行列店を相次ぎプロデュースした岸本拓也さんに、食パン作りや店作りのコンセプトを聞いた。

岸本さんが手がけたのは「考えた人すごいわ」(東京都清瀬市)、「午後の食パン これ半端ないって!」(相模原市)、「うん間違いないっ!」(東京・中野坂上)。オーナーはそれぞれ違うが、いずれもインパクトある名前が特徴だ。この、ヘンな店名と本格的な食パンの味わいのギャップに魅了される人が多いようだ。

岸本さんは横浜・大倉山にあるベーカリー「TOTSZEN BAKER'S KITCHEN」のオーナーだ。その一方で、異業種からパン店経営を目指すオーナーの開業・運営の支援をするジャパン ベーカリー マーケティングを経営している。同社が初めてプロデュースした食パン専門店が東京・清瀬駅前にある「考えた人すごいわ」だ。2018年6月にオープンするとツイッターなどで話題となり、行列のできるパン店になった。

高級食パン店を手がける経緯を岸本さんに聞くと、「それまで食パン専門店を手がけなかったのは、僕が納得できる食パンが完成するまでに時間がかかったからです。こだわったのは『風味』と『食感』。具体的には『甘み』と『口どけ』がおいしい食パンの決め手だと思っています。何度も原料の配合を変えて試作を重ねる中でその2つのバランスが完璧な形でシンクロした瞬間があって、そのときに思わず出てきた言葉が『考えた人すごいわ』なんです」という。

その高級食パン「魂仕込(こんじこみ)」(2斤800円、税別)は完成までに2年以上を要したという。口の中に入れるとほんのりとした甘みを感じ、次の瞬間にはシフォンケーキのようにとろけてなくなってしまう。今までの食パンにはない「口どけ」である。

3つの店の食パンは焼かずに「生」で何もつけずに食べてもおいしい、びっくりするほどの口どけ感がある、耳の部分が薄い、などの点が共通する。だが、原材料や風味、食感は少しずつ異なるという。

「魂仕込」の一番の特徴はみずみずしさだ。「パンの生地を仕込むときの水分量のことを『吸水』といいますが、魂仕込は吸水にポイントがあって、しっとりとしたみずみずしさがあります」と岸本さん。

18年9月には相模原市橋本に「午後の食パン これ半端ないって!」をオープンした。店名はサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会での大迫勇也選手の活躍から生まれた流行語を意識したものだ。

「昨年は色々な業態の店で、商品のポップに『半端ない○○』ってつけていました。でも、さすがに店名にまでする勇気は誰もないだろうと思って、あえてつけました」(岸本さん)

流行語がすぐに廃れるのも計算のうちで、「『あー、この店、ノリでつけちゃったよ』と思われたら『勝ち』ですね」と語る。

確かに、店名からは「うわっ、やっちゃったなー」という印象を抱くのだが、実際にその商品を食べてみれば、リッチな味わいとなめらかな舌触りでとても高級感がある。岸本さんが「勝ち」と言う意味がよくわかった気がした。

「奇抜な名前をつければいいというものではなく、そこに『ギャップ』がなければ繁盛店は作れません。お客さまに対して、いい意味での『裏切り』の連続をすることが大事だと思っています」

食パン「半端ない熟成」(2斤800円、税別)の原材料は厳選した小麦粉と国産バター、宮古島のミネラルたっぷりの地下海水で作る「雪塩」など。その名の通り、熟成にこだわり、「考えた人すごいわ」に比べると吸水が少ないため、もちっとした食感が大きな違いだという。

18年12月、東京・中野坂上に開店したばかりの「うん間違いないっ!」。この店名は試作段階で全国から集めた様々なパンの材料から「もうこれ以上のものはない」という素材に絞り込んだ時に、思わず口からこぼれ出た言葉だという。

こちらの食パン「Oh!間違いない」(2斤800円、税別)の特徴は自然な甘み。

「奄美大島で精製せずに煮詰めて作られたざらめ糖を使っています。サトウキビ由来のコクと素朴な甘さがあります」

他にも、黒潮の海水を自然ろ過して煮詰めた奄美大島の「真塩(ましゅ)」と呼ばれる塩、厳選された生乳から作る添加物を一切使用していないフレッシュな生クリームなど、間違いない素材が使われている。

店名のインパクトに負けない味への追求はもちろんだが、こだわりはそれだけではない。

岸本さんは「お客さまのニーズ、つまり、『おいしさ』を超えた『体験』や『付加価値』を売っていきたい。例えば、朝食だけじゃなく午後のおやつとしての食パンというライフスタイルの提案だったり、ちぎって食べるという食べ方の提案であったり、手土産として行列に並んでみて買うという日常生活ではないワクワク感だったり。そのために紙袋を4色刷りにして無駄にお金をかけたりしています」と笑う。

こうしたエンターテインメント性を重視するのは、パン店をプロデュースするようになったキッカケが大きい。

「東日本大震災の後、甚大な被害を受けた岩手県大槌町で住民アンケートをとったところ一番欲しいものが『焼きたてパン』だったということで、パン店の出店プロジェクトのお手伝いをしたんです。開業したパン店では買いに来る人だけじゃなく働く人も楽しくなるようにパフォーマンスを取り入れていました。結果、みんなに喜んでもらえて、地域が元気になったんです」と岸本さんは振り返る。

パンには地域を活性させる力があると、パンの可能性を改めて知ったという。

「よく『おいしいものを作れば売れる』とか『うちはおいしいものを作っているのになぜか売れない』という人がいます。でも、蛍光灯の下でそのへんの机に商品並べて売れるかといったら、売れるわけないだろうと思うのです。モノを売るのも色々な考え方があるので、味だけをひたすら追求することも否定はしません。でも、僕らはこれからもエンターテインメント的なパン屋を作っていきたいですね」

隅々まで計算された店作りと、ロジックだけではない熱い思い。このギャップも魅力の一つだろう。パン好きだけでなく、パン店経営に興味がある人も行列に並んでみれば参考になるのではないだろうか。

(ライター 柏木珠希)

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