サステナビリティとビジネスの両立に向けて

大塚桃奈さん

大塚さん 例えば、使い捨ての紙おむつや使い捨てのカイロなどのように、異なる素材が密着しているゴミです。どうしても燃やさなければならないゴミ、埋めなければならないゴミになっていて、これが今、町の課題になっています。

上勝のゴミステーションには「そのゴミがどこに行って何になるのか?」が明記されています。可視化されることが課題解決の第一歩として、非常に大事だと思います。

マキコさん 自治体がゴミの行方やリサイクル先を可視化してくれると、「何を買うか?」ということにも意識が向きますよね。

大塚さん 消費行動も変わってくると思います。例えば、お菓子なら「2分別のチップス」と「4分別のチップス」があります。

アルミ缶はリサイクル業者さんが1kgあたり90円で買い取ってくれますが、瓶やペットボトルのリサイクルには費用がかかります。リサイクルの観点からは、缶は資源としての価値が高いということになります。

マキコさん 「リサイクルにはコストがかかる」という点が、リサイクルがなかなか広まらない、特に企業がなかなか前向きになれない要因の1つだと思います。上勝町の皆さんは、コストがかかることについてはどう考えているのですか。

大塚さん 上勝のゴミの総量は300トンくらいです。これをすべて焼却埋め立て処分すると1000万円以上のお金がかかります。でもそれを、細かく分別することによって600万円くらいに抑えています。

資源物を分別することでもらえるポイントを発行して、それを町で使える商品券に交換できるようにして還元したりもしています。リサイクルに協力することで、地域の経済が回るような仕組みも作っています。

マキコさん リサイクルには需給のバランスも重要だと思います。再生プラスチックを使って運搬用のパレットを作っていた業者が、コロナの影響で大量運送自体が減少したことで生産数が減り、廃プラを引き取れないということも起こっているようです。

経済の状況が変わってバランスが崩れたとき、再生できる資源ゴミを集めても、それが再生されないということも起こり得るのではないかと思いますが、大塚さんはどうお考えですか?

大塚さん 「リサイクルだけでゼロウェイストを実現するのは難しいだろう」ということは、17年間取り組んでくる中で、上勝が出した1つの答えだと思います。

やはりものを作る段階で、それがどのように回収されて廃棄されるのかを踏まえて生産しないと、変わらないと思います。

これまでのビジネスでは、売り上げが一番の目標で、環境や社会のことはその次だったと思います。でもこれからは、売ることよりも、作ったものがどう循環するかに意識を向けていかないと、ビジネスとして継続していかないと感じています。

この記事は2月16日(火)に開催した、オンラインイベント「ファッションからごみゼロへ ~私が変身した理由~」の内容をもとに作成しました。

篠田真貴子さん 株式会社YeLL 取締役 1968年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルベニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年10月にほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)に入社。最高財務責任者を務める。2018年11月に退任し、1年3カ月のジョブレス期間を経て、2020年3月からベンチャーの「YeLL」取締役に。
大塚桃奈さん 1997年生まれ、湘南育ち。「トビタテ!留学JAPAN」のファッション留学で渡英したことをきっかけに、服を取り巻く社会問題に課題意識を持ち、長く続く服作りとは何か見つめ直すようになる。 国際基督教大学卒業後、徳島県・上勝町へ移住し、2020年5月にオープンした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」に就職。現在、山あいにある人口1,500人ほどの小さな町で暮らし、ごみ問題を通じて循環型社会の実現を目指して同施設の運営に携わる。 併設するHOTEL WHYでは、宿泊を通じて上勝での暮らしを体験でき、チェックイン時にはスタディツアーを開催している。
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