アイドルが持つDXに強い体質

鈴木「アイドルの強みって固定客っていうかですね、しっかりとしたファンを必ず抱えているというのは今回強めになった部分もありますか」

福田 淳氏(ふくだ あつし)。1965年大阪府生まれ、日本大学芸術学部卒。金沢工科大学院客員教授、横浜美術大学客員教授、(株)ソニー・デジタルエンタテインメント創業者。

福田「今のエンターテイメントが360度契約っていうのを15年ぐらい前に(米歌手の)マドンナがやったんですね それまでマドンナは自分の音楽配信にワーナーミュージックと契約していたんですよ。ところが360度契約といって興行会社と契約したんです。マドンナの読みが当たり、CDがおまけでライブエンターテイメントが主な収入になりました。CDがダメになっても音楽配信がそんなに伸びなくても、音楽業界というのは1998年のCD売上のピークより上回っていたのがこの3年ぐらい前の状況だったんですね」

「360度契約契約って、なにかというと音楽を中心にしたライブ、パッケージ、マーチャンダイジングなんですよ。アイドルの方は昔からブロマイドとか、握手会だとかグッズ売ったらこういう特典がありますってクラウドファンディングみたいに直感的にそういうことを全部おやりになったわけですよね。だからやっぱりお客さんの顔が見えないという不便は今あるんですけども、もともとやっぱりD Xに強い体質を持っているんだと思います」

間島「なるほど嬉しいですね。なんかこれからも確かに。でもやっぱり何だろうアイドルのファンの皆さんってそのライブの一体感というか一緒にコールしたりするのも楽しみにしてくださっている方が多いと思うので、そういうところなんか代わりになる案とかもっと考えていきたいなとは思いますね」

リモートでのブランディング

福田「スポーツエンターテイメントで面白い例があります。ドイツのサッカーリーグは収入の90%がテレビの放映権なんですよ。それで無観客で始めたんですね。そうするとお父さん、おじいちゃんの代からファンだったという人たちがほとんど離れていっちゃいました。『テレビの放映のために観客無しでもやるのか』と。だけどやっぱり放映権料の方が大きいからお客さんを軽視しちゃったんです。ドイツのサッカー業界はコロナ明けにお客さんが戻ってこないって今心配しているんですよ。ところが日本のプロ野球は放映権料が逆に1割しかないんですよ。だからコロナになったら売り上げが下がっちゃった。その間にファンに応援してもらうために選手が出てきて小学生とオンラインで交流するなど、あらゆるデジタルを使っています。僕はリモートトラスト力ってビジネス 1回で言いますけどまあリモートでお客さんに愛してもらうようなブランディング尺を取っていたからおそらくコロナが明けてもDeNAみたいなところはすぐお客さんがまた元に戻ると思いますね」

鈴木「例えばアスリートの方とかアイドルとか含めたアーティストの方々ですね私たちは不要不急な存在なのか。コロナの時に活動するのが後ろめたいようなそういうことが発言されている方も結構おられたんですね。その文化としての例えば音楽とかスポーツっていうのビジネスとしての音楽やスポーツここのこう協会がずいぶんを入り乱れちゃったのは2020年だったかなという気がするんですけどそのあたりはどんな風に分析されますか」

福田「僕は30年以上エンタメやってきているんで、エンターテイメントがないと生きていけないっていう人生を過ごしてましたから、それなしに暮らしていけるなんて人は逆に凄いなと思うんです。例えばタイミングの問題があって東日本大震災が起きた時にその友達や親族が行方不明なんてわからないっていうところにギター1本持って行って癒しだって言ってもそれは嫌われるわけですよね。だけどもあるやっぱり時間が経った後にみんな精神的に病んじゃうわけですよ。そういう時にエンターテイメントがどれだけ生きる糧になるのかっていう事例はたくさんありました」

「コロナの議論の中で経済が回らない人の自殺が多いという話がでています。実際に起きたウイルスによる影響よりも、エンターテイメントがないことによる喜び楽しみがないことによる喪失感の方が実際の悪影響が出ていると思うんです。やっぱり今だからこそあらゆるエンターテイメントをちゃんとやるべきだと思いますね」

鈴木「コロナ下で家にいなさいと言われて外にも出られないという人にとってアイドルが心の支えだったという声も結構聞いたんですよ。その辺りはどうですか」

間島「そうですね。やっぱり自分もそうですし皆さんもなかなか外にご飯に食べにいくのも難しかったり、友達と会うのも難しかったり。娯楽がほとんど制限されてしまっている時代だからこそ、これまでと変わらずテレビやオンラインのライブで、私たちが歌って踊ることで何か楽しさを感じてもらえたら嬉しいなと思います」

オンラインだからこそ拾えるお客さんの声

鈴木「『愛を知る』や『何人も』を聞いて元気になった人もいたと思いますね。そういう思いは受け止めていたなあ、という感じはありますか」

間島「そうですね。そういう声はすごく聞いていて特に『愛を知る』の時はそれこそコロナになってすぐの時にリリースさせていただきました。歌詞的にも、前を向こうという明るい楽曲だったので、『毎日、聞いて通勤してます』と医療関係者のファンの方からそういう声をいただきました。すごく嬉しかったですね」

鈴木「福田さんの方にはそういうファンの声、お礼の声は結構届いていいますか」

福田「毎日ものすごく来ています。うちの会社は月に2本くらいオンラインライブやっています。今までステージでやっていて、皆さん感激したって言ってもショーが終わった後の話です。ライブの状態でお客さんの声っていうのは拾えなかったんですよ。でもオンラインだからこそ、お客さんが今思ったことを登壇者がなんか答えられる可能性があります。今までなかったお客さんと出演者の対話や新しいコミュニケーションができる可能性をデジタルが広げてくれたと思います」

(構成は村野 孝直)

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