先行特別映像の多くが第2ステージから

トゥイッケナム・フィルム・スタジオに続く第2ステージが、1月20日から29日に行われたアップル・スタジオでのセッションだ。アップルとはビートルズが68年5月に設立した会社であり、そのレコード部門のスタジオが20日にオープンしたのだ。

1月15日に仕切り直しを決めた4人は、完成したばかりのアップル・スタジオで20日にセッションを再開する。まずはファースト・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』のように一発どりで新しいアルバム作りを進めることをめざしていたようだ。

しかし、セッションは初日からつまずいた。機材がまったく使い物にならなかったのだ。ジョージ・マーティンが急きょEMIから機材を取り寄せて、翌21日からはなんとかセッションを開始する。この時点ですでにアルバム収録候補曲が決められており、22日からビリー・プレストンがキーボードで参加、23日にはアラン・パーソンズ(その後エンジニアとして活躍しプロデューサーを経て76年以降はミュージシャンとして活躍)がセカンド・エンジニアとして加わる。25日と26日も休日返上でセッションが続き、アップル屋上でライブをやるという案が急浮上。最終的に30日に行われることになり、29日は最終リハーサルにあてられた。

この期間のセッションは、旧作映画『レット・イット・ビー』では中盤に収録されている。「フォー・ユー・ブルー」の演奏に乗ってアップル・ビルにさっそうと入るシーンからだ。68年のインドでの瞑想(めいそう)修行の会話に続き、「ベサメ・ムーチョ」から「ディグ・イット」まで、断片的な演奏やメドレーも含め10曲ほどのセッションが続く。リンゴの新曲「オクトパス・ガーデン」ではジョージがコード進行をアドバイス。雰囲気が明るくなり演奏も引き締まっている。ただ、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」などでは、ポールのワンマンぶりも見られる。

新作映画の先行特別映像は、この期間のセッション映像が大半を占めている。「ゲット・バック」の演奏開始時にレコーディング・エンジニアのグリン・ジョンズが口を挟むと、ジョンとポールがジョークまじりで責め立て、演奏を再開すると今度はポールが中断させてメンバーに指示。旧作よりもソフトな映像が選ばれているので、ポールがセッションの主導権を握りつつも和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる。険悪だったはずのポールとジョージが一緒にスタジオ入りしたり、ポールがドラムをたたいたり、4人がふざけ合うさまざまなシーンなども挿入され、ビートルズの絆が回復していることを感じさせる。

旧作映画ではメンバー以外の登場シーンの大半がカットされていたが、新作映画の先行特別映像ではこのプロジェクトにかかわった監督のマイケル・リンゼイ=ホッグ、ビリー・プレストン、グリン・ジョンズ、アラン・パーソンズ、ジョージ・マーティン、マル・エヴァンズ(デビュー前からアシスタントを務め68年からはアップルの重役)、さらにはリンダやモーリーン(リンゴの妻)やヨーコらも次々と登場する。

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