通常、オーディション番組では、デビューの合否や挑戦者が努力する姿が最大の見所だが、指導者が発信する言葉の深さや、プロデューサーとして求めるものが見える点が、Nizi Projectを複層的な魅力のあるコンテンツとした。また、J.Y. Park氏の指導方法は、部下を持つ中堅以上の社会人にも役立つと、ビジネス系メディアまでもが注目するところとなった。

成功した“プレデビュー”施策

6月26日、Nizi ProjectのファイナルでNiziUの9人が決定した後、その盛り上がりを冷ますことなく次に展開したスピードも見事だった。ほぼ3日後には、プレデビュー曲としてデジタルミニアルバム『Make you happy』を日韓同時リリースし、翌日には世界配信。日本国内の音楽配信サイトで87冠、海外で23冠、合計110冠を達成した。さらにミュージックビデオ(MV)は8月31日に再生数1億回を突破。ストリーミングでは11月10日に女性グループ初の累計再生数1億回超えが発表されるなど、数々の記録を打ち立てている。

J.Y. Park氏がプロデュースしたリード曲『Make you happy』のフレッシュで明るいダンス・ポップチューンは、JYPが得意とするところ。K-POPに詳しく、自身もNizi ProjectにハマったOKAMOTO'Sのオカモトレイジ氏は、「『Make you happy』は、ど真ん中なポップスだと感じました。メロディーとコード感がとてもシンプルで、60年代風にも90年代風にもアレンジできる。アレンジが効くから、例えば“オルゴール風”でも成立する。オルゴールになっても違和感がないかは、大衆性を得られるか否かのポイントだと思っているんですが、JYPのガールズグループの曲は成立するんです。だから、年代を選ばずに受け入れられているのでしょう」と分析する。

振り付けの“縄跳びダンス”もはやりのダンスとなり、本田翼やTWICEのミナ、kemio、具志堅用高ら有名人がカバーして大ヒットに。プレデビュー曲『Make you happy』だけでも、韓国語バージョンのパフォーマンスビデオや、ファンの掛け声を本人たちが実践するガイド映像など、たくさんのコンテンツが発信された。

“プレデビュー”という言葉は日本では聞き慣れないが、K-POPではよく見られる、正式デビューに向けて勢いをつけていくための手法だ。デビュー前から認知を広げ、盛り上げをつくっていく“貪欲さ”は、日本の音楽業界にとっても売り方のヒントになるのではないだろうか。

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