韓国発ガールズグループ 日本デビューが相次ぐ理由
今年に入り韓国発のガールズグループの日本デビューが相次いでいる。2017年デビューのTWICEの成功が呼び水となり、Red VelvetやOH MY GIRL BANHANAなど5グループ以上が進出。憧れと親しみやすさを感じさせる独特の魅力に商機を見いだすレコード会社の期待が背景にあるようだ。
先駆けとなった9人組のTWICEは、17年6月に日本デビューした。今年5月発売の3枚目のシングルは、3作連続で初週20万枚を超えるセールスを達成。ライブでは5月のさいたまスーパーアリーナなど計4公演で延べ5万6000人を集客する人気を誇る。
TWICEを追うグループで頭一つ抜きんでているのがRed Velvet。3月の日本初単独コンサートで2日間に2万人を動員し、7月に日本オリジナルミニアルバムを発売した。ライブ会場に足を運ぶ人の約8割は女性ファンだ。
彼女たちの魅力をエイベックスのRed Velvet担当者は、「10~20代前半の女性がパフォーマンスだけでなく、メイクやファッションを通して憧れる存在。手が届きそうで届かない、常に一歩先を行く距離感が特徴」と説明する。
日本のガールズグループは素人が成長していく姿を男性ファンに訴求するタイプが主流。一方、欧米の人気者は手の届かないセレブが中心だ。そのどちらでもない、同性ファンに憧れと親しみやすさを感じさせる絶妙な距離感が韓国発の強み。
この市場に伸びしろがあるとみた大手レコード各社により、デビューラッシュが起きているといえる。デビューが続けば他と違う個性が重要になる。各社はグループカラーの確立に余念がない。
Red Velvetの個性は「クールとキュートなど二面性のギャップ」(エイベックス担当者)。楽曲は、黒のスーツでクールに踊るダークな曲から、カラフルな衣装で明るく歌うポップソングまで幅広い。
8月に日本デビューするのが、サルの耳と尻尾というインパクトのある衣装で『バナナが食べれないサル』を歌うOH MY GIRL BANHANA。韓国では4月に発売した、7人組のメンバー全員参加ユニット楽曲の日本語版だ。
ソニー・ミュージックレーベルズのアリオラジャパンで同グループを担当する長谷川純氏は「サルがお尻をかく"お尻かきダンス"が韓国でヒットしたタイミングで、記憶に残る楽曲での日本デビューを決めた」と語る。「女性ファンに身近に感じてもらうためのライブやイベントを重視したい」(同)
日本デビューアルバム発売前日の8月28日には、お披露目のショーケースライブを、なかのZERO大ホールで1日3回開催。韓国グループのライブチケットは1万円前後が多いが、ファンクラブ先行のチケット代は中高生でも足を運んでもらえる4980円だ。
続々と日本デビューする韓国発ガールズグループから、TWICEに並ぶ人気者たちが生まれる可能性がありそうだ。
(「日経エンタテインメント!」8月号の記事を再構成 文/伊藤哲郎)
[日経MJ2018年8月10日付]
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