冬限定だった「雪見だいふく」 トースト載せも話題にロッテ マーケティング部 雪見だいふくブランド課 安藤崇平氏(下)

縁起担ぎ商品ともなっている「ふく」の字が大きい商品(雪見だいふくブランド課の安藤崇平氏)
縁起担ぎ商品ともなっている「ふく」の字が大きい商品(雪見だいふくブランド課の安藤崇平氏)

ロッテのアイスミルク「雪見だいふく」が秋冬の季節限定商品だったことを知らない人は少なくない。よく知られた2個入り商品が通年で買えるようになったのは、2018年4月からのことだ。1981年の発売当初から37年も守り続けた「秋冬商品」のポジションを脱皮する大胆な決断。年間売り上げを100億円に押し上げる弾みともなった通年化は「担当者の一言から始まった」と、雪見だいふくブランド課の安藤崇平氏は振り返る。

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毎年9~3月だけに販売する「秋冬限定」は譲れない存在意義だった。ロッテが定めた「雪見だいふくの日」も11月18日だ。もともとアイスクリーム市場では後発だったことから、斬新な商品が求められ、あえてピークの夏をはずすというチャレンジに踏み切ったいきさつがある。つまり、秋冬限定販売は「雪見だいふく」の立ち位置そのものであり、商品名の由来でもある。「社内の多くは当たり前だと思い込んでいた」(安藤氏)

しかし、商品戦略を練る議論の中から「売り手側が決めつけているだけで、お客様のほうにはシーズンを越えてニーズがあるのでは」という疑問が社内から示された。安藤氏は「実は以前からお客様の声が届いていた」と明かす。夏に買い求めようとして手に入らず、初めて冬限定と知った消費者は少なくなかったという。

「冬商品という固定観念にとらわれていたところがある」と、安藤氏は率直に認める。ただ、名指しで買い求められるまでに認知度が上がったからこそ、「夏にも食べたい」というニーズが勢いを得たともいえる。37年かけて育んだ支持の厚みを背景に、ロッテは通年販売に向けた下準備を始めた。

でも、拙速は避けた。商品戦略を根っこから見直すような変更となるだけに、入念なリサーチを試みた。最初に実施したのは、消費者の意向調査だ。アンケート調査の結果をみて、社内には驚きが広がった。秋冬限定だと知らない回答者が多く、むしろ通年商品だと誤解していた人のほうが多かった。

「『春夏に買いたい』という回答は秋冬に劣らなかった。シーズンにこだわる意味は薄いとみえた」(安藤氏)。人気が広まった結果、「定番アイス」のイメージも浸透し、通年販売の下地は既に整っていたようだ。もともと業務用は以前から通年販売が進んでいた。業務用の安定的な売れ行きは、家庭向けでの成功も予感させた。

潜在ニーズをリサーチで確かめたことを踏まえて、テスト販売に乗り出した。15年に首都圏で始め、さらに北海道や九州などにエリアを広げて、春夏販売を試した。「一定の手応えを得られた。さらに検証を重ねて、全国的な売れ行きに確証を持てたので、通年販売を決断した」(安藤氏)

春夏に売れ行きが伸びる、シャリシャリした食感のアイスとは異なる、もっちりした口当たりは「春夏でも存在感を示せる」という期待も通年販売に背中を押した。テスト販売開始から約3年を経て、18年4月から全国での通年販売が始まった。

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