山田杏奈 新しい役を演じ役者として求められ続けたい

日経エンタテインメント!

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存在感の強さと演技力が早くから評価され、17歳にして映画『ミスミソウ』(18年)で初主演。昨年もドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』、岡崎京子原作の映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』で主役を演じるなど、着実にキャリアを積んでいる山田杏奈。2月にも山口まゆとダブル主演を務めるホラー映画『樹海村』が公開となる。舞台は富士の樹海。響(山田)・鳴(山口)姉妹の前に、樹海に封印したはずの呪いの箱「コトリバコ」が出現し、恐怖の連鎖に引きずり込む。

2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリとなり芸能界入り。スズキ「スイフト」のCMにも出演中。1月29日公開の映画『名も無き世界のエンドロール』にヒロイン役で出演(写真:中川容邦)

「私自身はあまりホラー映画を見ることがなかったし、出演するのもこれが初めて。お話をいただいて、まずは清水(崇)監督の『呪怨』や『犬鳴村』などを見ることから準備を始めました。『呪怨』は今ではホラー映画の王道のような作品になっていると思うのですが、『犬鳴村』や今回の『樹海村』は単に得体の知れないものが登場するというだけではなく、そのバックボーンまで描いているのが新しいなと感じましたね。

『樹海村』 興収14億円のスマッシュヒットとなった『犬鳴村』に続く“恐怖の村”シリーズ第2弾。ホラー映画の第一人者・清水崇が監督。共演は神尾楓珠、倉悠貴、工藤遥、大谷凛香ほか(2月5日公開/東映配給)

演じた響は1人だけ霊が見えて、ほとんどしゃべらない女の子。何を感じているのかを表情だけで表さないといけないので、そこはいつも以上に考えました。ただ、自分と似ている部分を引き出してできる役でもないし、普段のように役の感情に乗せてセリフを言うというお芝居でもない。どう見えればいいのかを外側から積み上げていった感じです。

監督からは、孤立していて、どこか人間よりも動物や植物にシンパシーを感じているような子と聞いたので、『風の谷のナウシカ』や『ぼくのエリ 200歳の少女』といった、人間としてカテゴライズできるのか曖昧なキャラクターが出てくる作品を見て参考にしました。周囲とは違うことを考えながら、こうするしかないという道を進んでいく、そんな主人公を作っていったつもりです」

キラキラ学園ものにも興味が

18年の『ミスミソウ』では、壮絶なイジメを受けて復讐を果たす中学生役。そんな初主演作の印象もあってか、ミステリアスな役どころも多かった。しかし、1月期のドラマ『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(テレビ朝日系)では、生田斗真の娘役で初めての本格的コメディに挑戦するなど、演技の幅を広げ続けている。20歳目前の若さながら、そのプロ意識の高さも際立つ。

「『書けないッ!?』は、両親が常にバタバタしているのに、子どもたちはさめていてクールで、そのバランスが面白い作品です。撮影も本当の家族のような空気感で、毎日、『お芝居、楽しい!』って思いながら現場に行ってますね。

自分自身はあまり明るい性格ではないので、以前はそういう役が難しいなと感じていました。でも、明るい役とそうでない役に明確な境界線はなくて、自分が思っていることをどう表に出すかの違いなんだと気がついて。共演者の方に合わせて感情を表に出すパーセンテージを高くしていくと、自然に気持ちがノッてくることが分かってからは、苦手意識がなくなってきました。

自分が変わったなと思うのは、いい意味で『仕事』という意識が強くなったことですね。こういう作品だとこういうお芝居が必要なのかなとか、全体的なバランスではこのくらいがちょうどいいのかなとか、自分がこうしたいではなくて、求められているものは何かを前よりも考えられるようになった気がします。そのためには、お芝居のストックをもっと増やさなくてはとも思っています。

だから、今は時間が許す限り、どんな役でもやりたいですね。もちろん、主演で使ってもらえることはうれしいですけど、そこへのこだわりはありません。主演は見る人が一番感情移入しやすい役だったりするので、突飛なことはせずに真っすぐ演じることが多い。一方、脇役でスパイスになるようなアプローチができる役も演じていて楽しいです。

次に出てみたいのは、王道のキラキラした学園モノかな(笑)。自分が演じたらどうなるんだろうって興味があります。新しい役を演じることで、『次はこんなお芝居も見たい』と数珠つなぎになっていくと思うので、役者として求められ続けたいですね」

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2021年2月号の記事を再構成]

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