瑛人が初アルバム 全部入れて『すっからかん』

2020年最も耳にした楽曲に、瑛人の「香水」を挙げる人は少なくないだろう。現在、ミュージックビデオの再生数は1億3500万回を超え、多くの著名人によるカバーが相次ぐ異例のヒットを記録。「NHK紅白歌合戦」にも出場した。そんな瑛人が、初のアルバム「すっからかん」を元日にリリースした。

えいと 1997年6月3日生まれ、横浜市出身。19歳から曲を書き始め、2019年4月、21歳の時に「香水」をリリースし、シンガーソングライターとして活動開始。20年1月には事務所・レコード会社に所属せず「HIPHOPは歌えない」「シンガーソングライターの彼女」を配信リリース。今年1月31日にはリリース記念ライブ(限定有観客&配信)を開催予定

約1年前までは、ハンバーガー屋でアルバイトをしながら活動していたが「2020年は信じられないことがいっぱいあった」と身の回りの変化を振り返る。

「『香水』がヒットした後、いろんなレコード会社や事務所から話が来たんです。10対1で大人の人たちからえんえんと褒められたりとか……もうパンクしそうになっちゃって(笑)。そんなときに、師匠であるシンガーソングライターのルンヒャンさんのつながりで、(森山)直太朗さん、そして、セツナインターナショナルの代表で、詩人でもあるKさん(御徒町凧)に会ったんです」

「そしたら、Kさんは今まで出会ってきた大人の人たちと比べて、すごくラフで『とりあえず一緒にタバコ吸う?』みたいな会話から始まりました(笑)。その自然体な感じがすごくいいなと思って、俺から逆オファーしてセツナに入れてもらいました」

「音楽仲間が増えたことも大きいです。事務所の先輩になった直太朗さんとは、今では何でも話せる仲になりました。俺が小学校の卒業式のときにボロボロ泣きながら歌っていた『さくら』を作った人が目の前にいて、遊んだり相談に乗ってくれたりする。不思議ですよね(笑)。『ミュージックステーション』(テレ朝系)が決まった際には、直太朗さんが出演する回に、勉強として連れていってくれて」

本格的なライブも、瑛人にとっては新たな挑戦だという。これまでは最大でも50人ぐらいの前でしか歌ったことがなかったが、昨年7月には大阪城ホールで数千人の観客を前に歌を披露した。

「1曲目の『香水』のときは照明が真っ暗だったので『意外とお客さんの顔が見えないな』と安心しながら歌ってたんですよ。ただ歌い終わって照明がついた瞬間、見たこともない数の人が目の前にいて。思わず『こんなにいるの』と声に出しちゃいました(笑)」

初めてのアルバムには「すっからかんになるまで自分のすべてを詰め込んだ」と語るほど、“1stアルバム”には特別な思いが込もっているという。

「当初は、まだ今作に入れなくてもいいかなと思っていた曲がいくつかあったんです。だけど、Kさんが「自分が死ぬときに、絶対手に取るのは1stアルバムだよ」と教えてくれて。今の俺が詰め込める曲は全部入れようと決めました。アルバムを出したらストックがゼロになるけど、それでもいいや! って」

21年は『すっからかん』で幕を開ける。そんな瑛人が“今”思い描く、これから先の目標や夢とは。

「最近は、歌にどうすればもっと魂を込められるかを意識し始めました。というのも、先日あるヒップホップアーティストのライブに行ったら、本当に心を震わさせられて。俺負けてるわ……と思っちゃったんです。もっと自分を開放して『瑛人の歌、ソウルからきてるじゃん!』みたいにみんなから思ってもらえるようになりたいですね」

「あとは、日本全国いろんな場所に行って歌を届けたい。そして、いつになるか分からないけど『氣志團万博』みたいに『瑛人万博』をやるのが夢です。横浜の赤レンガ倉庫で、それまでにできた仲間たちを呼んでフェスをする。ケータリングはもちろん、バイトしていたハンバーガー屋さんで(笑)」

(「日経エンタテインメント!」1月号の記事を再構成 文/阿部裕華 写真/中村嘉昭)

[日経MJ2021年1月15日付]

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