あなたは70歳まで働きたい? 春の法改正のポイント人生100年時代のキャリアとワークスタイル

2021/1/18
改正高年齢者雇用安定法で70歳まで働く機会が広がる(写真はイメージ=PIXTA)
改正高年齢者雇用安定法で70歳まで働く機会が広がる(写真はイメージ=PIXTA)

人生100年時代と言われますが、寿命が延びる中で、あなたはいつまで働きたいと考えていますか。2021年4月1日から、改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になります。私たちの働き方にどのような影響を与えていくのか、改正のポイントについて確認していきましょう。

改正の背景にあるもの

日本は少子高齢化で、今後の労働力不足は深刻な状況です。国立社会保障・人口問題研究所(2017年推計)では、生産年齢人口(15~64歳)は2040年に5978万人と15年と比べ1750万人も減少する一方、65歳以上の高齢化率は35.3%まで上昇すると推計しています。

また、年金の支給開始年齢の原則は65歳ですが、22年4月から60~75歳(現行は70歳)までに選択制で拡大します。こうした情勢を鑑みて、国内の経済社会の活力を維持するためにも、働く意欲がある人が年齢にかかわりなく働ける環境整備を図るために、21年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行されることになりました。

家電量販店のノジマでは、施行に先駆けて20年7月より、定年後の再雇用契約を65歳から最長80歳まで延長できる制度を導入。シニアの豊富な経験や能力を生かしたいと制度を大幅に見直す企業も出始めています。

改正前と後、どう変わる?

会社が定年を定める場合、60歳未満の年齢に定めることは禁止されています。この点は、改正後も変わりません。それでは、いったい何が変わるのでしょうか。

これまでは、定年を65歳未満に定めている会社において、(1)65歳までの定年引き上げ(2)定年制の廃止(3)65歳までの継続雇用制度の導入――いずれかの措置を講じることが義務付けられていました。継続雇用制度については、原則として、希望者全員が対象となります。

改正後は、上記に掲げる65歳までの雇用確保義務に加えて、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、以下のいずれかの措置(これを「高年齢者就業確保措置」といいます)を講ずる努力義務が新設されます。

いずれの措置を適用するかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講ずることが望ましいとされています。

■対象となる高年齢者就業確保措置
(1)70歳までの定年引き上げ
(2)定年制の廃止
(3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b. 事業主が委託、出資(資金提供)などする団体が行う社会貢献事業

簡単に言えば、高年齢者就業確保措置の(1)と(3)が、65歳から70歳に引き上げられ、さらに(4)(5)が新たな選択肢として加わったイメージとなります。

なお、高年齢者就業確保措置は努力義務のため、会社が対象者を限定する基準を設けることができます。ただし、上記(1)、(2)を除きます。

この高年齢者就業確保措置の努力義務があるのは、「定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主」と「65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主」です。

厚生労働省の調査によれば、65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%ですが、66歳以上働ける制度のある企業は30.8%(2019年「高年齢者の雇用状況」)にとどまっています。つまり、国内にある多くの企業が努力義務の対象になります。

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継続雇用制度の留意点