2020/11/30

特別なメソッドを編みだす必要はない

ただ、そうはいっても、やはりいきなり「教える」のはハードルが高いという方も多いでしょう。その理由は、何か世の中にまだない、自分にしかないオリジナルのアイデアを、ゼロから考え出さないと教えてはいけないと思っているからです。

結論から言うと、ゼロから作った自分だけのメソッドは、この世の中に存在しません。自分のアイデアやスキルなんて、誰かがもう考えているものです。しかし、今まで数十年生きてきたなかでインプットしてきたものを掛け合わせ、あなたの「あり方」「信念」「経験」がブレンドされて、しみだしてくるものは、あなただけのオリジナルとなります。例えが適切かどうかは分かりませんが、あなただけの「秘伝の出汁(ダシ)」のようなものになるのです。

過去の経験、インプットに加えて、あり方が濃縮されたダシは、あなたにしか出せないものなのです。つまり、単なるノウハウを教えるだけでなく、あなたの「あり方」「信念」「経験」を、ちゃんと棚卸しして明確化させて伝えることは、とても重要です。つまり、ただのノウハウだけでなく、自分がなぜその知識を人に伝えたいか、そのことによってどんな未来を夢見ているかという「思い」があるかどうかが最も大切です。

仕事術的なノウハウは今後、人工知能(AI)でテンプレート化していくかもしれません。ノウハウだけを効率的に摂取するだけなら機械でいい、そんな世の中になったとき、「それでもあなたから話を聞きたい」となるかどうかは、あなたのダシが出せるかにかかっています。

では、自分のダシをどう見つけていけばいいでしょうか。ここではエンターテインメント(エンタメ)を楽しみながらできる方法について紹介しましょう。

映画を見ながら自分の価値観を明確化する方法

ステップは3つです。特にステップ3が重要です。

<ステップ1>
「自分の人生で一番感動した映画」を2~3つあげる(映画を見ない人なら小説、マンガ、ドラマ、音楽などのエンタメでもOK)。
<ステップ2>
まとまった時間をつくって、もう一度その映画を見てどっぷり浸る。
<ステップ3>
浸った自分を冷静に振り返り、どこに心を揺さぶられ、どこに怒りを感じ、どこに感動したのかをメモし、自分の感情の動きを細かく観察し、言語化する。
<ステップ4>
怒り、感動、喜びの価値観と、過去あなたが取得してきたスキルや、今学び続けていることが、どうリンクしているのかを考える。

このステップを経ると、今まで一貫性がなかったかのように見えた、あなたのキャリアやスキルの取得プロセスが、一つの「思い」を軸に実はつながっていることが見えてきます。それが、あなたならではのダシです。

たとえば私が映画やドラマを見るときは、「あいつはダメだ」「終わってる」と決めつけられて理不尽な思いをしていた人やずっと芽が出ずつらい思いをしていた人が、諦めずに理想の道をつきすすみ成功を得るようなストーリーにいつも涙します。

私が共感する「思い」は、「外からの決めつけ」「自分への決めつけ」によって挑戦をあきらめることへの反発、怒り、もどかしさです。だからこそ、チャレンジをしたいと思っているのに一歩勇気がでない人や、誤解されていても諦めずに望む未来を手に入れたいと奮闘している人の力になりたいと思い、本を書いたり研修をしたりコンサルティングをしたりしています。仕事内容は様々ですが(朝活、プレゼン、資料作成、時間管理、目標達成、女性活躍推進)、その中で伝えたいメッセージは一貫しているわけです。朝活、プレゼン、資料作成など、一つひとつはありふれたノウハウかもしれませんが、「決めつけ(ジャッジ)からの解放」という私にとってのダシが、ノウハウの上にふりかかっているわけです。

あなたのダシがでると、「あなたの話を聞きたい」「あなたがすすめることやものを知りたい」というオファーをもらえるようになってきます。あなたが今まで頑張ってきた経験は宝です。どんな未来を夢見ているか、どんなことに喜びを感じているかを改めて考え、ご自身が積み上げてきたスキルにふりかけていきましょう。あなただけが教えられることは、そこにあります。あなたの一歩を心より応援しています!

■まとめ
●凡人こそ、凡人が努力してできるようになるプロセスを教えることができる
●凡人だという認識をもち続け、日々努力を重ね、自己嫌悪や憂鬱な気持ちと闘いながら理想の姿を目指してスキルアップを続けている人こそが最強
●今からは、教えるプラットフォームを活用したり、コミュニティー内で教える経験を積んだりしていこう
●オリジナルメソッドを作ろうと思わなくていい。あなたのダシを探そう
●自分だけのダシは、好きな映画・音楽・本などのエンタメから気づくことができる
池田千恵
朝6時 代表取締役。朝イチ業務改善コンサルタント。慶応義塾大学卒業。外食企業、外資系企業を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築しているほか、個人に向けては朝活でキャリア迷子から抜け出すためのコミュニティー「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。10年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。