リクルートキャリアの古賀敏幹マネジャーは「地方企業で副業する目的は金銭的報酬だけではない」と説明します。生まれ育った故郷への恩返しの気持ちや、本業で経験できない仕事へのやりがいも、都市居住者を地方での副業に駆り立てるといいます。「交流人口が増えれば地方も活性化します。今後新しい働き方として定着していくだろう」とみています。

古賀敏幹・リクルートキャリアマネジャー「都市と地方の関係人口を増やすきっかけ」

コロナ禍で広がったテレワークは、様々な働き方に道を開きました。都市部を生活の拠点にしながら地方企業で副業する地方副業もその1つです。地方は熱視線を送りますが、今後定着するのでしょうか。現状と課題をリクルートキャリアの古賀敏幹マネジャーにうかがいました。

――2018年に「ふるさと副業」と命名し、地方と都市居住者のマッチングビジネスを始めたそうですね。

リクルートキャリアの古賀敏幹マネージャー

「もともと副業に関心がありました。人生100年時代を迎え、1つの会社で職業人生を終える終身雇用はいずれ廃れます。不確実性が高まる社会では道を1つに絞り込むのも危険です。複数の選択肢を持つことでリスクも回避できます。本業を持ちながら、ほかの仕事で稼いだり経験を積めたりする副業にその可能性を見いだしました」

「経営サイドと働く側。双方に需要がある副業は何だろうと考え、ふるさと副業に至りました。日本は人口減少が続き、地方から都市部への人口流出も止まりません。地方の人手不足は大きな課題です。特にIT(情報技術)やウェブデザイン、マーケティングといった専門人材は都市部に集中し、地方ではこれらを担える人材が限られています。優秀な人材の採用ができずに地方企業は悩んでいました。一方、働く側では副業への関心がここ数年高まっていました。転居を前提としたU・Iターンはハードルが高くとも、都市と地方をときどき行き来する程度の副業なら受け入れられやすいと思いました」

――報酬はどのくらい得られるのですか?

「専門性や拘束時間、難度などにより、報酬は様々です。比較的多いのは月20~30時間くらい要する業務量で月額5万~10万円程度です。基本的に地方企業と業務委託契約を結びます。最初の打ち合わせや要所では対面を求められることもありますが、通常はリモートで仕事をこなします。オンライン会議や電子メール、チャットを駆使して都市部に暮らしながら働けます」

「隙間時間で稼げるのが副業の良さでもありますが、報酬目的の方ばかりでもありません。働きがい重視が意外と多数います。もともと地方出身で進学・就職で都市部に出てきた方などです。都市で身に付けた専門知識や能力を地方に返したいと願っています。私たちが仲介した事例では、東京のベンチャー企業で事業開発を担当する男性が、出身地である福岡県の博多織の会社に副業で従事。高い伝統技術の情報発信を手助けし、東京での営業拡大に寄与しました」

「地方企業は彼らに即戦力の働きも期待します。その分、責任は重大ですが、商品紹介サイトの運営や都市部への販路拡大など目に見える形で事業に貢献できます。本業ではあまり担えない大きな役割を果たせることが働きがいになり、副業する原動力にもなっているようです」