猫専用の見守り端末で起業 原点は無人島での水鳥観察ラボ代表 伊豫愉芸子氏(上)

RABO(ラボ)の伊豫愉芸子代表は筋金入りの猫好きだ
RABO(ラボ)の伊豫愉芸子代表は筋金入りの猫好きだ

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの技術を、犬や猫の暮らしに活用する「ペットテック」が注目されている。RABO(ラボ、東京・渋谷)の伊豫愉芸子代表は、首輪型のウエアラブル端末や専用アプリで飼い猫を見守る「Catlog(キャトログ)」を開発。クラウドファンディングサイトで2018年に先行販売すると、目標の約13倍の金額が集まった。世界でも珍しいという「猫専用」のニッチ市場に照準を合わせたのはなぜなのか。

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「すべては、猫様のために。」が同社の掲げる基本理念だ。伊豫氏自身、愛猫との暮らしを20年以上続けてきた筋金入りの猫好き。「人間のことはいいんです。ユーザーである猫様のことだけを本気で考えています」。インタビュー中は猫に対していとも自然に「様」という敬称を用いる。

同社が開発・販売するキャトログは、首輪型のウエアラブル端末に内蔵されたセンサーで、飼い猫の行動データをリアルタイムで収集する。独自のソフトウエアによる解析で、「食べている」「走っている」「寝ている」といった猫の状態を判定。飼い主はスマートフォンの専用アプリを通じて、外出中など遠隔地からでも、様子を見守ることができる。

2018年10月からクラウドファンディングサイト「マクアケ」で先行販売し、目標の30万円を大きく上回る400万円超を集めた。19年9月からは一般販売を始め、利用「猫」数は20年10月現在で約3000に達している。

支持された理由は、飼い主の切実なニーズ

「働きに出ている日中は、猫様を長時間留守番させることになり、『どうしているだろうか』と心配に思う飼い主は多い。部屋に定点ウェブカメラを備えている人もいますが、死角が多く、異常が発生しても通知されないので、見守りには不十分でした」

健康管理の面でも「データ」がモノをいう。飼い猫が体調を崩して獣医にかかると、「食欲や運動量に異変はないか」「水を飲む回数が急激に増えていないか」といった質問をよくされる。だが、家を空けている時間の長い飼い主がしっかり答えるのは難しい。

猫の行動をずっと見守ることは現実的に不可能だ。多頭飼いの場合、個体ごとの変化を把握するのはなおさら難しい。猫はその習性上、不調を隠そうとする動物だとされ、様々な疾患の発見が遅れてしまうケースもあるという。

「飼い主の多くにとって、猫様は単なるペットではない。家族の一員なのです」と伊豫氏。大切な「家族」と1秒でも長く一緒にいたいという思いは、普遍的なものだという確信があった。起業にあたっては「売れないのでは」という、周囲からの声もあったが、発売後の反響は「確信」の正しさを裏付けている。

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