腹決めと誠実さ 起業支えたリクルートで鍛えた仕事力ラボ代表 伊豫愉芸子氏(下)

伊豫氏は研究者から転じてリクルートで営業を経験した
伊豫氏は研究者から転じてリクルートで営業を経験した

首輪型のウエアラブル端末などで飼い猫を見守る「Catlog(キャトログ)」。RABO(ラボ、東京・渋谷)の伊豫愉芸子代表がこれを着想するもとになったのは、東京海洋大学(当時は東京水産大学)在学中に打ち込んだ動物の行動研究だった。研究に情熱を傾けていた伊豫氏は、なぜ一般企業への就職を決め、さらに起業へと突き進んでいったのか。

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空を飛び回る海鳥などにセンサーを取り付け、「人の見えないところ」にいる動物の生態を探るバイオロギングを専攻していた伊豫氏。研究生活は楽しかったが、「研究者として一生やっていくのか」という点については、迷いがあった。

「博士課程に進学して研究者になれば、その仕事をおそらく一生続けていくことになるだろうと思いました。でも将来、それ以外の世界にも興味を持つことがないとは限らない。研究一筋で行くと決断して百%後悔しないかというと、分からなかったですね」

迷ったら、まず動いてみるほうだ。「興味が持てる企業だけ受けてみよう」と就職活動を開始。結果、起業家志向の強い人材が集まることで知られるリクルートから、内定を得た。

採用選考でも「研究の話ばかりしていた」という伊豫氏は、企業の見定め方も独特だった。リクルートの事業には、動物の行動研究と通じる部分があると感じていたという。

「進学や結婚、仕事や住まい探しなど、人生の節目を支えるのがリクルートの事業の本質だと考えていました。つまり、人間の行動や価値観をとことん解析して、仮説と検証を繰り返しながら新しいものをつくり出す。大学院では『動物の行動を解析して論文を書くこと』をミッションにしていたわけですが、プロセスとしては似ていると思いました。全く違う世界へ転身したかのように思われがちですが、私の中ではつながっていましたね」

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信念を育んだリクルート時代
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