2020/10/11

答えと解説

正解(まばたきに関する記述のうち間違っているもの)は、(3)まばたきは、しっかりまぶたを閉じなくてもいいので、なるべく高速で行うのが効果的だ です。

通常、まぶたが閉じると同時に目玉は上へ上がるので、目は白目になっています。しかし、まぶたが閉じ切っていない人の場合、残った黒目が見えています。「下までしっかりまぶたを閉じる」のが正しいまばたきの方法です。おおたけ眼科つきみ野医院(神奈川県大和市)の綾木雅彦院長によると、まばたきをしているのに、ちゃんとまぶたを閉じ切っていない人は多いそうです。

「まばたきがちゃんとできていない人は多いですよ。まばたきをしても、まぶたが8割ほどしか閉じていない人をよく見かけます。そんな患者さんには『ちゃんとまぶたを下ろして目を閉じてください』と指導していますが、本人は言われなければ分からないようですね」

なぜ、まぶたを完全に閉じてまばたきをしなければいけないのでしょうか?

疲れ目やドライアイ防止だけでなく、集中力などにも関係

理由の一つは、まばたきは、黒目の汚れをとる、いわば「ワイパー」のような役割を持つからです。まぶたをしっかりと閉じれば、眼球は上転するので黒目も上に上がり、まぶたが開くと眼球は下がる。こうやってまばたきのたびに眼球を拭き上げています。

まばたきをすると、上まぶたの内側にある涙腺から涙が出てきて目の表面を潤し、目頭の内側にある涙点から鼻へ流れ出るという涙の循環がスムーズに行われます。また、乾いたところとぬれたところのムラがないように、均一に目の表面を潤す効果もあるため、まばたきはドライアイ予防にもつながります。

原画=(c)Peter Lamb-123RF

「まばたきが完全にできていない人は目が傷つきがちなので、目の痛みを訴える人も少なくありません。角膜は、知覚神経の塊。視力を守るために、異常があると分かるように痛覚が集中している敏感な部位です。この角膜のメンテナンスをする『まばたき』は、疲れ目やドライアイ防止にとても大切なのです」(綾木院長)

まばたきがどのくらい大切かというと、目表面の疾患分野についての研究・教育などを推進する、米国ボストンに拠点を置く国際的NPO組織TFOS(Tear Film & Ocular Surface Society)が、一般の人にまばたきの大切さを啓発するために歌を作っているほど。「みんな、恥ずかしがらずにまつげをぶつけてまばたきをしよう」といった内容の歌です[注1]

眼科医たちがこうした歌を作るくらい、目の健康にまばたきは重要なようです。確かに、目の痛みは大きなストレスを招き、仕事の効率を落とす要因になります。

「実際、ドライアイになると『気が散りやすい』ということは脳波を使った私の研究でも明らかです。まばたきを我慢してドライアイの状態にすると、集中力に由来する脳波成分が減少。『普段からドライアイ症状が強い人ほど、集中力が低下する』という研究結果が出ています」(綾木院長)

さらに最新の研究では、まばたきが脳の情報処理に直接関わることも分かってきたといいます。

「まばたきは、目に紫外線などの有害な光が入ることを防ぐだけでなく、見続ける状態から一時解放することで、目を休めると同時に脳の緊張も解きます。こうして、まばたきで目を閉じている0.3秒ほどの間に脳は情報をとりまとめ、目を開いた後に次の情報処理にとりかかるのです。まばたきは目を拭き掃除するだけでなく、こまめに目や脳を休めて集中力を回復させ、情報処理を助けていることになります」(綾木院長)

まぶたをしっかり閉じるには?

ここまで聞くと、意識してまぶたをしっかりと閉じなければいけないという気になります。綾木院長によると、目を閉じられない原因は、甲状腺の疾病や目の周囲のマヒによることもありますが、大抵の場合、「クセ」なのだそう。特に目が大きい人は目を閉じにくいため、浅く閉じるクセがついてしまっている人が多いようです。

「健全なまばたき」に変えるには、下までまぶたが落ちている感覚を覚えることが大切です。「ちゃんと目を閉じられていれば視界は真っ黒になるはずですよ。意識的にゆっくり長めに目を閉じる練習をしてみてください」(綾木院長)

歯磨き中やトイレのタイミングなど、生活の中で自然に取り入れるのもいいでしょう。

「何かのついでにやるのはよいですね。まばたきは副作用もありませんし、お金もかからず、人に迷惑をかけることもありません。いつでも実行できるものですから、意識してまばたきをしてみてください」(綾木院長)

[注1]“Blink around the World”(https://www.youtube.com/watch?v=gNJY51Nz-34)

[日経Gooday2020年9月23日付記事を再構成]

ウェルエイジング ニューズレターのご紹介

人生100年時代を生きるヒントとなる情報を提供する「ウェルエイジング」では、週1回ニューズレターを発行します。

>> 登録はこちらから

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント