国内外218都市に300を超す拠点を持ち、グローバルに「世界中に定額で住み放題」というサービスを展開するのが「HafH」(ハフ、長崎市)だ。同じ大学で学んだ30代の創業者2人が「HafH」を通して目指すのは「多様な価値観を多様なまま許容する社会インフラの創造」。その一環として2019年4月にこのサービスを開始した。翌年3月にはJR西日本イノベーションズ、NECキャピタルズ等から総額10億円の資金調達も受けている。

創業者の一人は政府の広報メディアスタッフとして世界中を巡った経験の持ち主。世界中どこでも旅して働ける実感をそこから得たらしい。世界中に「Home away from Home(第2のふるさと)」を作りたいという思いが強く、社名は、それにちなむ。

HafHも会社員の登録が増えており、現在約4割を占める。利用者の声を拾うと「好きなサーフィンを楽しみながら仕事もできる」「在宅勤務していると家族に迷惑がかかる」「海外からコロナで帰国したが、働く先は東京でなくてもいい」などいろいろだ。

歴史情緒あふれる広島県鞘の浦にあるHafH拠点は、築90年の古民家。地元の人との交わりも新鮮

2泊3000円という「おためしハフ」から、月に5日間、10日間、そして1ヶ月滞在可能な月額8万2000円の「いつもハフ」まで選択肢のある料金設定だ。

拠点は、ホテルや旅館、古民家タイプの宿泊施設などバラエティーに富んでいる。会員から「ここはワーケーションに向いている施設」という推薦があって加盟してもらうこともあるという。今後は移動手段(JR西日本、ANAなどとは期間限定で移動も含む利用パッケージを出してもいる)も合わせたサポートや、ワーケーションの利点を企業に理解してもらう啓蒙活動も強化していく方針という。

コロナをきっかけに進むリモートワークで、どこで働くか、暮らすかという選択肢が広がった。従来、旅先で出会う人や地域の魅力が、仕事や人生に新たな視点や刺激を与えてくれることに、みな気づき始めている。

小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。