「周りの目が怖いんだ」というセリフで泣きそうに
大童澄瞳による同名マンガを英勉が実写化した『映像研には手を出すな!』。齋藤さんは、極度な人見知りの主人公・浅草みどりを演じている。
「初めて原作マンガを読んだときは、浅草の独特な癖だったり、現実には存在しないような部分が目についたりしたので、これを私が実写化するとき『どうすればいいんだろう』と不安な気持ちに襲われました。台本をいただいて読んでみても、どうしたらいいかわからなかったので、本読みのときに初めて英監督と浅草という役についてお話しさせてもらいました。そこで『声はこういう感じでいこう』とか、『こういう動きが浅草っぽい』など、細かい部分を詰めて、クランクインまで気持ちもつくっていきました。
浅草を演じる上で、最初はまったく自分との共通点を見つけることはできなかったんですけれど、撮影が進むにつれ『自分と似ているな』と思う部分が出てきました。浅草はすごく臆病なところがあって、自分の本心を隠すために、大げさなアクションをしてしまうことがあるんです。私も自分の気持ちを隠すために、ちょっとふざけてしまったり、ごまかしたりしてしまうことがあるので、それは身に覚えがあるというか。
劇中には浅草が自分の作った映像作品に対して、ちょっと自信をなくしてしまう場面があります。そのシーンはすごく共感しましたね。私も表に出る人間として9~10年のキャリアを積んでいますが、どうしても周りの目を気にしちゃうし、10代の頃は評価されることにおびえることもありました。なので、『周りの目が怖いんだ』というセリフを言いながら泣きそうになっていました。一方で梅澤美波演じる金森さやかの『あんたが好き勝手やるしかないでしょ』という励ましの言葉も響いてきて。収録を通じて心が震えることは多かったです」
同作には乃木坂46の後輩で3期生メンバーの山下さんと梅澤さんも出演している。収録を通じ「絆が深まった」というが、齋藤さんから見た2人の魅力はどんなところなのか?
「梅澤に対して『この人すごいな』と思ったのが、クランクインの日に役を仕上げてきたことです。というのも梅澤は『映像研』が初めての映画の仕事で、お芝居の経験もあまりありませんでした。それゆえ、本読みの日はぎこちない部分があった……けど、クランクインした瞬間から梅澤は金森として現場にいました。山下はドラマにも出演していたから映像の仕事にも慣れているし、私は先輩だし、きっと自分が足手まといにならないようにと考えて、しっかり作り込んできたんだと思います。梅澤の根の真面目さを感じたというか、でもそのおかげでお芝居もやりやすかった。助けられたなと思っています。
山下は水崎そのまんまの人というか、役にハマっていたので、特に不安はありませんでした。水崎はカリスマ読者モデルというキャラクターで、人々の視線を集めたり、注目を浴びたりする存在。山下もそういうところがあるというか、現場でもスタッフさんと上手にコミュニケーションを取っていて、それによって和やかな雰囲気になっていました。そういうのは、山下の天性の才能だと感じるし、なるべくしてアイドルになった人なんだなと思います」